数多あるタイ料理の中でも、特によく知られているひとつがパッタイ(ผัดไทย)。
麺のほかニラやもやし、豆腐、エビなどと炒めた麺料理で、料理名のパッタイは「パット(炒める)」と国名の「タイ」から成り立っています。
料理名を見ても、タイを代表するひとつといっていいタイ料理でしょう。
目次
- 1 パッタイ(ผัดไทย)とは
- 2 パッタイ専門店①:バンコクの超有名店「ティップサマイ」
- 3 パッタイ専門店②:ミシュランが輝く隠れた名店「バーンヤイパッタイ」
- 4 パッタイ専門店③:路上で営み40年以上「アーチュアンパッタイ カノムパックガード」
- 5 パッタイ専門店④:5年連続ミシュランビブグルマン!「パッタイ ファイタル」
- 6 パッタイ専門店⑤:アム母さんが作る一皿「パッタイメーアム」
- 7 パッタイ専門店⑥:ランチタイムは行列覚悟「ウォンパッタイ」
- 8 パッタイ専門店⑦:タイ人からの評価が高い「パッタイバイトーン」
- 9 パッタイ専門店⑧:有名店のそばに名店あり「パッタイルンパージャオガオ」
- 10 パッタイ専門店⑨:5種の麺から選べる「ハワー ホイトート パッタイ」
- 11 パッタイ専門店⑩:熱々の鉄板「パッタイ ナロックテーク」
- 12 YouTubeでも紹介しているパッタイ7店舗
パッタイ(ผัดไทย)とは
パッタイが生まれたのは第二次世界大戦後と言われています。
当時の首相だったプレーク・ピブーンソンクラーム(Plaek Phibunsongkhram)は、戦争で米生産のコストが上がったことにより、米食ではなく折れた稲を原材料にできる米麺を広めようとキャンペーンを発案したのがきっかけです。
当時、米麺といえばクイッティアオが主流でしたが、ピブーン氏は中華料理がルーツのクイッティアオではなく、ナショナリズムの高揚も絡めて、中国の影響を受けていないオリジナルの米麺センチャン(เส้นจันท์)を使った麺料理を推奨していきます。
この料理は当初、クイッティアオパットと呼ばれていましたが、後に名付けられたのがパッタイ(ผัดไทย)。
国名を冠したこのタイ料理は、ナショナリズム強化を目指すピブーン氏によって紹介され、タイ全土に広まったと言われています。
パッタイの麺は前述したようにセンチャンという平麺を使うのが一般的で、味付けの基本はタマリンドソースやナンプラーです。
具材はもやしやニラ、豆腐、乾燥エビなど。
唐辛子や香草が使われていないこともあり、タイ料理の中でも親しみやすい一品です。
本記事ではこのパッタイにスポットを当て、バンコクにある無数のパッタイ屋から旨い店を探し出し、みなさまにご紹介しようという企画です。
2017年に同じ企画の記事を公開しているのですが、すでに6年以上が経っています。
閉店しているお店もあれば、新たに取り上げたい店もあるため、2023年版として10店舗を選び直しました。
バンコクで旨いパッタイ屋を探しているなら、何よりもまずこの記事をご覧ください!
(記事の最後に、YouTubeで公開した動画のリンク先も載せていますので、そちらも参考にしてください)
パッタイ専門店①:バンコクの超有名店「ティップサマイ」
パッタイ企画をやるにあたり外せない店舗がいくつか浮かんだのですが、こちらはその1店舗です。
タイのガイドブックを始め、ブログ、YouTubeなどで取り上げられる常連パッタイ店『ティップサマイ』。
私があえて紹介するまでもないぐらい知られた店舗ですが、1店舗目として本企画を飾っていただくには適したお店だと思い、トップバッターで登場していただきました。
創業したのは1939年。
パッタイ専門店でもっとも古いといわれ、タイのパッタイ業界を牽引してきた存在といって過言ではありません。
ちなみに数年前、「ティップサマイ」のオーナー夫人にインタビューし、歴史や今後の展望などを記事にしたのでそちらも併せてご覧ください。
『ティップサマイ』のパッタイは海老味噌が使われているのが特徴。
いまでは海老味噌を使ったパッタイは他でもありますが、これを初めて世に出したのは「ティップサマイ」でした。
そしてもう1つ、『ティップサマイ』の特徴として特筆しておきたいのは、中のパッタイが透けて見えるほどの薄さに仕上げられている薄焼き卵で包んだパッタイホーカイ(ผัดไทยห่อไข่)。
シェフの腕前が表れています。
モチモチとした麺の食感と風味豊かな海老味噌の香り。
世界各国から訪れる名店のパッタイは、タイへ来たら必食です。
店名 | ティップサマイ/THIPSAMAI |
営業時間 | 09:00-24:00 |
定休日 | 火曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/Q1Up1WjPwh357efMA |
Website | https://thipsamai.com/ |
パッタイ専門店②:ミシュランが輝く隠れた名店「バーンヤイパッタイ」
タイで最も有名なパッタイ屋の次は、あまり知られていない店にご登場いただきましょう。
MRTスティサン駅が最寄りではありますが、徒歩だと10分以上かかる住宅街に立地している、まさに隠れた名店。
不便な場所にあるもののパッタイには定評があり、ミシュランバンコクのビブグルマンに何度も選ばれている実力派です。
しかも店内の至るところに、タイの有名人と店主が写る写真が並んでいることから、『バーンヤイパッタイ』が並々ならぬパッタイ専門店であることが分かるでしょう。
壁に掲げられているメニューはタイ語ばかりなので、不安になるかもしれませんがご安心あれ。
スタッフが外国人客だと判断すると、ささっと英語メニューを出してくれます。
注文前にまず選択しなければならないのは麺の種類。
『バーンヤイパッタイ』には一般的に使われている平麺のセンチャンはなく、センレック(クイッティアオの細麺)かウンセン(春雨)からチョイスします。
続いては具材。
海老やイカのほかに、豚の脂身を揚げたガークムー(กากหมู)やカシューナッツもトッピングメニューに加わっていますので、これらを入れるかどうかも要検討です。
そして最後に辛さの度合い。
唐辛子マークの数によって辛さを選べるようになっています。
規模が大きい店になると、一度に大量のパッタイを炒めそれを小分けにしていくのですが、辛さを選べるということは、一皿分ずつ調理しているわけです。
さすがミシュランのビブグルマンに輝くだけのことはある。
私のチョイスは、麺をセンレック、イカと海老を入れ、ガークムーとカシューナッツもトッピング。
全部盛り込みました。
辛さは唐辛子2本分です。
少々辛めに仕上げてもらいましたが、食べてみるとこれが程よい。
しかも、タマリンドソースが少なめなのか甘さ控えめに仕上げられていて、"大人のパッタイ"といった印象です。
カリッとしたガークムーとカシューナッツを加え、他のパッタイでは味わえない食感を演出できているのは、店主のセンスがあってこそ。
スティサン駅から少々離れていますが、それでも来店する価値のあるパッタイ屋です。
以下の記事では『バーンヤイパッタイ』の全メニューをカタカナ表記していますので、参考にしてください。
店名 | バーンヤイパッタイ/บ้านใหญ่ผัดไทเตาถ่าน |
営業時間 | 10:30-17:00 |
定休日 | 日曜日 |
Google Map | https://goo.gl/maps/zva8CLiQ68JC2Uu87 |
パッタイ専門店③:路上で営み40年以上「アーチュアンパッタイ カノムパックガード」
3店舗目に取り上げるのは、日本人が誰も紹介したことがない(多分)パッタイ屋台です。
路上にぽつんと屋台を据え、2人で営んでいるのは『アーチュアンパッタイ カノムパックガード』。
営業を始めて40年以上という老舗屋台で、店主はなんと79歳!
パッタイの調理はもうひとりの男性に任せてはいるものの、いまでも毎日お店に立ってお客さんと顔を合わせています。
テーブルはなく持ち帰り専門ですが、次から次へとお客さんが来店し、気付いたら並んでいるじゃないですか!
調理している若い男性も店主も、パッタイを待っている常連のお客さんたちと歓談し、ご近所さんたちとコミュニケーションを交わす場としても機能しているようです。
店名にあるカノムパックガード(ขนมผักกาด)とは、大根と小麦粉を混ぜて作ったお餅のようなもので、食事とおやつの中間にあるような料理のことをさしています。
これをパッタイにも入れられるというので、それを注文。
持ち帰りを専門とする屋台ですが、お店で食べさせてもらうことにいたしました。
もやしとニラをたっぷりと使ったパッタイは、卵とカノムパックガードも一緒に炒めています。
注文時に辛さを聞かれたので、「タイ人に出す程度に辛くしてください」とオーダー。
麺はもちもちとしたセンチャンが使われ、甘さはなく、辛味が程よい。
エビやイカと言った豪華なトッピングはありませんが、パッタイそのものの出来が素晴らしいので、これだけでも十分です。
45バーツという庶民的な価格も嬉しい。
日本人が来店し撮影しているのが珍しかったのか、食べる前から常連さんに話しかけられ、和やかな雰囲気に。
屋台での食事は、こういった距離感の近さを感じることができるのも魅力のひとつ。
路上で40年以上、パッタイだけにこだわり続けた屋台の味をぜひどうぞ。
店名 | アーチュアンパッタイ カノムパックガード/อาชวนผัดไทย ขนมผักกาด |
営業時間 | 09:00-16:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/D3TuvwQtgL3qFp4z8 |
パッタイ専門店④:5年連続ミシュランビブグルマン!「パッタイ ファイタル」
ミシュランがタイに上陸したのは2017年。
この年に取り上げられた『ジェイファイ』はローカル食堂なのに星を獲得したことで話題になりました。
それから2年が経った2019年、パッタイ専門店の『パッタイ ファイタル』がビブグルマンを獲得。
その後2023年までの5年間、毎年ビブグルマンに選ばれているという、希代のパッタイ屋です。
厨房は店頭に設けられているため、パッタイを調理している姿を見ることができます。
まずはフライパンを極限にまで熱し、煙がもうもうと立ち込めてきたら具材を投入。
その瞬間、フライパンから炎が上がり、そこからは中華料理のように手早く仕上げていきます。
『パッタイ ファイタル』のパッタイは、ムーヤーン、海老、ムーグローブをトッピングしたものが揃え、私はムーグローブにしました。
ところが、注文したスタッフから言われたのが
「おすすめはパッタイムーヤーンです」
そんな風に言われてしまうと、おすすめを食べなきゃいけないような気がしてきまして、瞬く間に意見を変え、ムーヤーン入りにいたしました。
そして現れたのがこちら。
最上部に巨大なムーヤーンが4枚乗っていて、麺の姿が一切見えない!
ムーヤーンの存在感があまりにも大きいので、肉料理の如きパッタイになっています。
巨大ムーヤーンも気になりますが、まずは麺。
炎が上がるほどの強火で炒められているので、麺を頬張るだけで香ばしさが口の中で満たされる!
これだけ香ばしいパッタイは他では味わったことはありません。
麺だけですでに感動を覚えたのですが、次なる感動はムーヤーンです。
豚トロのようなぷりぷりとした脂身があり、絶妙な炙り具合で、これも素晴らしい。
ミシュランが5年連続でビブグルマンに認めたパッタイは、他店にはない独創性とこだわりを込めていました。
【パッタイファイタル】のメニュー
『パッタイファイタル』にはパッタイのほか、コームーヤーンやガイヤーンといった逸品メニューも揃えています。
メニューには写真と英語併記されているので、タイ語が読めなくても注文は問題なし!
パッタイファイタル/ผัดไทยไฟทะลุ
パッタイタルムーヤーン/ผัดไทยทะลุหมูย่าง
パッタイファイタルマンクン クンソッド/ผัดไทยไฟทะลุมันกุ้ง กุ้งสด
パットタイファイタルムーグローブ/ผัดไทยไฟทะลุหมูกรอบ
クルアンキアン/เครื่องเคียง
コートコームーヤーン/โคตรคอหมูย่าง
コートガイヤーン/โคตรไก่ย่าง
コートムーグローブ/โคตรหมูกรอบ
店名 | パッタイ ファイタル/ผัดไทยไฟทะลุ |
営業時間 | 10:00-20:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://goo.gl/maps/CsFoo6ygdTcRsAvM7 |
パッタイ専門店⑤:アム母さんが作る一皿「パッタイメーアム」
ラマ4世通り沿いにある『パッタイメーアム』は、創業して30年以上が経つ老舗パッタイ店です。
店名のメーアムは「アムお母さん」という意味で、店主アムさんが毎日厨房に立ち調理しています。
店に入ると、壁には紹介された雑誌記事の数々が掲げられ、その中にはかなり古い日本語の記事も。
数十年前には日本の媒体で取り上げられたいたことになります。
海老入りパッタイ(パッタイクン)は、デフォルトで薄焼き卵で包まれていて、中に潜んでいるのは、パッタイによく使われる麺のセンチャン(เส้นจัน)。
モチモチ感が素晴らしく麺で感動させられるのですが、味付けも絶妙!
『パッタイメーアム』ではガスは使わず炭火で炒めているので、センチャンの食感を損なうことなく活かせているのでしょう。
瞬く間にアム母さんのパッタイを平らげたところ、アムさんからとある提案が。
「クアガイも食べてみない?」
パッタイを食べた後に、クアガイをおすすめしてくるとは!
クアガイとはセンヤイ(太麺)と鶏肉を炒めた麺料理。
麺の後にまた麺ですか。
と思いましたが、アム母さんに勧められて断ることなんていたしません。
センヤイ独特のもっちりとした食感、そして強火で炒められた鶏肉。
アム母さんの手際の良さで調理されたクアガイも、おすすめです。
パッタイやクアガイの他に、タイスイーツのブアロイ(บัวลอย)やカオニャオマムアン(ข้าวเหนียวมะม่วง)もあるので、甘味好きならこちらもどうぞ。
『パッタイメーアム』のメニューはすべてタイ語表記なので、カタカナ表記で見たいかたは以下の記事を参考にしてください。
店名 | パッタイメーアム/ผัดไทยแม่อัม |
営業時間 | 11:00-20:00 |
定休日 | 土曜日 |
Google Map | https://goo.gl/maps/iWmBQSotsyStwJm26 |
パッタイ専門店⑥:ランチタイムは行列覚悟「ウォンパッタイ」
MRTサムヨット駅から徒歩5分ほどにある『ウォンパッタイ』。
屋台のパッタイ屋で、メニューはパッタイホーカイ(卵包みパッタイ)のひとつしかなく、有無を言わせることなくこれが出て参ります。
料理数をひとつに絞ることで提供時間が早くなり、デリバリーも含め、屋台ながらを多くの注文をさばけるようになっているのでしょう。
使われている麺はセンチャンで、しっかりとタレが染み、それを薄焼き卵がふんわりと包んでくれています。
一緒に炒められているのは干しエビや’豆腐、もやしなど。
付け合わせは生もやしとニラ、バナナのつぼみです。
センチャンはしっかりとしたモチモチ感で、味付けにはタマリンドソースが使われ、優しい甘みが染みていて旨し。
これだけのパッタイが一皿55バーツなのは嬉しいかぎりです。
創業して今年で44年という『ウォンパッタイ』。
庶民価格を守り続け、しかも旨いパッタイを提供し続けているだけに、日々の行列も頷けます。
店名 | ウォンパッタイ/จวงผัดไทย |
営業時間 | 10:30-16:00 |
定休日 | 日曜日・月曜日 |
Google Map | https://goo.gl/maps/8XE2amF8DAK1oSvE7 |
パッタイ専門店⑦:タイ人からの評価が高い「パッタイバイトーン」
3度の飯よりもパッタイが好き、という方ならばぜひ知ってもらいたい店がピンクラオにあります。
執筆時点でGoogle Mapのレビュー数は400以上。
そのほとんどがタイ人からの評価で埋め尽くされている、地元に密着した『パッタイバイトーン』です。
外国人からのレビューがほとんどないのは、その立地によるため。
チャオプラヤー川を渡ったピンクラオにあり、しかも簡単にアクセスできる場所じゃありません。
GrabやBoltといった配車アプリを使いこなせるなら問題ありませんが、公共交通機関を利用するなら結構な距離を歩く覚悟が必要です。
MRT Bang Yi Khan駅からなら歩いて30分ほど。
私が来店したのは11時ごろでしたが、女性は休む間もなくフライパンを振り続け、デリバリーの注文に対応していました。
彼女こそ、1980年の創業時から『パッタイバイトーン』の味を守り続ける張本人。
黙々とパッタイを炒め続ける店主の横を通り、店内へと。
壁にはテレビ出演した時の写真や雑誌などで紹介された記事がいくつも掲げられいて、『パッタイバイトーン』の知名度を物語っています。
タイのメディアばかりかと思ったら、ひとつだけ日本語の記事が。
今はなきフリーペーパーのDACOでした。
外国人がまったく寄り付かないパッタイ屋だけに、メニューにはタイ語表記しかありません。
ずらりと並ぶ料理名に視線を落とすと、海老や豚肉入りのパッタイがある中、私の心を捉えたのはムーグローブ入り。
大好きなカリカリ豚を搭載したパッタイがあるなら、それ一択です。
運ばれてきたパッタイは、鮮烈な緑が眩しいバナナの葉に乗せられて登場。
店名にバイトーン(バナナの葉)というタイ語が冠せられている理由が、パッタイを見て判明しました。
麺は王道のセンチャンを使用。
まずは麺のもちもち感に打ちのめされ、辛味を絶妙に加え干しエビの風味が効いた味付けに感服。
さらにムーグローブのカリカリ感を堪能したら、食べる手が止まらなくなります。
多くのタイ人が絶賛する『パッタイバイトーン』の一皿は、不便な立地であっても味わってもらいたい至高のパッタイです。
店名 | パッタイバイトーン/ผัดไทยใบตอง |
営業時間 | 11:00-14:00、17:00-21:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/ndqPwPJHSUJVqyrS7 |
パッタイ専門店⑧:有名店のそばに名店あり「パッタイルンパージャオガオ」
1店舗目で紹介した『ティップサマイ』の隣で、渋さあふれる店舗を構えるパッタイ専門店『ルンパーパッタイ ジャオガオ』。
こちらも『ティップサマイ』と同じく、海老味噌を使ったパッタイとして長らく営んでいる老舗店です。
まずはマンクン(海老味噌)を油で炒めて香りを出し、それから麺をや海老を炒めてタマリンドソースなどで味付けをし、最後に薄焼き卵で包んでいきます。
さて海老味噌入りのパッタイ。
薄焼き卵がパッタイをそっと包み込んでいる姿は、子供を宿した妊婦のよう。
生命の神秘すら感じるのは私だけではないでしょう。
使われている麺はセンチャンではなくセンレック。
甘さは控えめで、強烈な印象を刻んだのは海老味噌の香りが鼻腔を抜けていきます。
『ティップサマイ』も海老味噌を使ったパッタイなんですが、香りの豊かさでいえば『ルンパーパッタイ ジャオガオ』のほうが強い。
隣接する『ティップサマイ』ばかりが注目されていますが、クオリティの高さなら負けてはいません。
胃袋が許すなら両店を食べ比べてみてください。
店名 | ルンパーパッタイ ジャオガオ/ลุงภา ผัดไทย เจ้าเก่า |
営業時間 | 10:00-01:00 |
定休日 | 隔週月曜日休み |
Google Map | https://goo.gl/maps/rETpTKqKZ3KGQ32c6 |
パッタイ専門店⑨:5種の麺から選べる「ハワー ホイトート パッタイ」
『ハワー ホイトート パッタイ』が立地しているのはジャルンクルン・ソイ36を入ったところ。
目の前にフランス大使館があるので、それを目指せば分かりやすいと思います。
こちらはムスリムの女性店主が営むパッタイ屋台。
パッタイには海老や卵入り、イカ入りなどがあり、そのほかにホイトート(ムール貝入りタイ風お好み焼き)やカノムパックガードなどを揃えています。
この店、日本人にはほとんど知られていませんが、壁にいくつも貼られている写真は有名人の数々です。
オーダーしたのは海老入りパッタイのパッタイクンソッド(ผัดไทยกุ้งสด)と、カノムパッガード(ขนมผัดกาด)の2品。
パッタイの頂部には海老2尾がどーんと居座り、もやしやニラ、豆腐などと炒められています。
注文時に女性店主から
「辛くしても大丈夫?」
と聞かれたので、僕はいつものごとく
「マイペット、マイアロイ!(辛くなければ美味しくない)」
と返答したのは言うまでもありません。
パッタイにはいろんな食材の食感が楽しめ、タマリンドソースの程よい甘みと唐辛子の辛みがマリアージュ。
皿に盛られたクラッシュピーナッツをかけると香りと食感が加わり、パッタイの魅力がさらに際立つのでおすすめです。
パッタイやカノムパックガードだけではなく、イカ炒めやシーフード炒めなどもあります。
そしてこの店で特筆しておきたい特徴は、5種類の麺を揃えていること。
通常パッタイで使われるセンチャンの他に、センコラート(コラート産の麺)、センサムットサコーン(サムットサコーン県産の麺)、ウンセン(春雨)、スパゲッティーがラインナップ。
センコラートとかセンサムットサコーンって、この店以外で見たことないので気になっています。
店名 | ハワー ホイトート パッタイ/ฮาวาหอยทอดผัดไท |
営業時間 | 08:00-17:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/4U4Nvc5ht54RHMPfA |
パッタイ専門店⑩:熱々の鉄板「パッタイ ナロックテーク」
「地獄のパッタイ」という意味の名を冠した『パッタイ ナロックテーク』
チャオプラヤー川向こうのウォンウェンヤイ近くで営んでいます。
店ではカウボーイハットをかぶった店主がフライパンをひたすらふり続け、火力は常に全開。
出来上がったパッタイは薄焼き卵で包まれ、熱せられた鉄板に乗せられて提供されます。
これだけでも十分心を惹きつけられるパッタイですが、さらにエビやら目玉焼き、揚げた魚、もやし、ニラをトッピングし豪華極まりない!
店名と同じ「パッタイ ナロックテーク」の完成です。
熱々の鉄板で提供されたパッタイは、パチパチと油が弾ける音を立て、香ばしさが鼻腔をくすぐってくれる。
箸で薄焼き卵を割ると麺のご登場です。
強火で炒められた麺はしっかりと味付けされているものの、甘ったるさはなくスパイシー。
【地獄のパッタイ】に魅せられるタイ人が後を絶たないのも頷けます。
飲食店の店名に「地獄」というキーワードを冠した理由はなんなのか…。
ずっとフライパンを振っているカウボーイハット店主に伺いました。
「以前は『ヌーパッタイ』という店名だったんだけど、お客さんがいつからか『パッタイ ナロックテーク』と呼び始めたので店名を変えたんです」
お客さんがなぜ「パッタイ ナロックテーク」と呼び始めたのかは不明ですが、パッタイが「地獄のような旨さ」だったからなのか!?
ひとつ注釈しておきますが店主はとにかくご陽気で、「地獄」とは縁遠いキャラクターですよ。
店名 | パッタイ ナロックテーク/ร้านผัดไท นรกแตก |
営業時間 | 15:30-22:00 |
定休日 | 月曜日休み |
Google Map | https://g.page/Naroktak?share |
YouTubeでも紹介しているパッタイ7店舗
私の超個人的な視点により選んだ、バンコクでおすすめしたい10店舗のパッタイ店をピックアップしました。
ガイドブックに載っているような店ばかりではつまらないので、超有名店も取り上げつつ超ローカル店までをチョイスしています。
バンコクでパッタイを食べ歩きたい方や、美味しいパッタイ店を探している方にとって、少しでも参考になれば幸甚です。
今回紹介した10店舗の中から7店舗を選び、YouTube動画でも公開しています。
そちらもご覧いただき、バンコクで自分好みのパッタイ屋を見つけられることを願っています。