2024年12月3日。
ユネスコは、タイの代表的な料理である「トムヤムクン」を無形文化遺産に登録しました。
ユネスコは登録理由として、「地元の食材に関する伝統的な知識を体現した料理」である点を挙げています。
このビッグニュースはタイ料理ファンの間で瞬く間に拡散。
ニュースが広がる中、私はとある企画を立ち上げました。
「バンコクでトムヤムクンを食べたい!」という方に向けた、今回の特集記事です!
目次
トムヤムクン(ต้มยำกุ้ง)とは何か?
トムヤムクンがタイを代表する伝統的なスープ料理であることは、本ブログをご覧の方ならほとんどがご存知でしょう。
その名前は「トム(煮る)」「ヤム(和える)」「クン(エビ)」という3つの言葉に由来し、その名の通り、エビをメインにした酸味と辛味の絶妙なバランスが特徴です。
トムヤムクンの最大の魅力は、タイの豊かな自然が育んだ新鮮な食材をふんだんに使っている点です。
レモングラス、カー(ガランガル)、こぶみかんの葉(バイマックルー)、唐辛子、ナンプラー(魚醤)、ライムなどのハーブや調味料が織りなす香りと風味は、他の料理では味わえない独特のものです。
これらの食材が融合し、トムヤムクン特有の芳醇で爽やかな味わいを生み出しています。
また、ハーブの効果によるデトックス作用や免疫力の向上など、栄養価の高いスープとしても注目されています。
トムヤムクンは2種類ある?
トムヤムクンには、大きく分けて 「ナムコン(濃厚タイプ)」 と 「ナムサイ(透明タイプ)」 の2種類があります。
それぞれの特徴を以下に説明していきましょう。
トムヤムクン ナムコン(ต้มยำกุ้งน้ำข้น)
ナムコンは、コクのある濃厚なスープが特徴のトムヤムクンです。
エバミルクを加えることで、まろやかでリッチな味わいを生み出し、さらにナムプリックパオ(タイ風チリペースト) を加えることで、香ばしさと甘みがプラスされ、より深い風味が楽しめます。
トムヤムクン ナムサイ(ต้มยำกุ้งน้ำใส)
ナムサイは、透明でシンプルなスープが特徴のトムヤムクンです。
エバミルクを使わず、酸味と辛味をダイレクトに楽しむことができるさっぱりした味わいの一品です。
本記事で取り上げる店舗のほとんどで、トムヤムナムコンを取り上げています。
ナムサイを提供している店舗もありますので、クリアスープのナムサイも味わってみてください。
バンコク厳選!トムヤムクン7選
ユネスコに認められたトムヤムクンだけに、バンコクで絶品のトムヤムクンを食べたい方も多いはず。
そういった方々へ向け、今回の記事ではトムヤムクンを特集することにしました。
私がこれまで食べ歩いてきた中から、厳選したのは7店舗。
1店舗だけあえて、トムヤムクンではなくトムヤムプラーのお店も入れてみました。
7店舗を全店巡り、お気に入りのトムヤムクンをぜひ見つけてください!
エビ味噌たっぷりの濃厚トムヤムクン!【メムトムヤムクン】
カオサン通りから徒歩5分ほどの場所にある、トムヤムクンの有名店『メムトムヤムクン』。
いまではガイドブックに載るほどの有名店ですが、私が初めて記事で紹介した2015年当時はまだほとんど知られていない屋台でした。
初取材してからというもの、何度となく来店していることもあり、僕の顔も覚えられるようになりました。
そしていつからか店頭に「激旨!タイ食堂」の垂れ幕が掲げられるように。
よく誤解されるんですが、これ僕が持っていって掲げてもらったものじゃありません(笑)
場所はカオサン通りと並行して走るSoi Kraisiという通り沿いで、路上で営業する半屋台スタイル。
創業したのは60年以上前だそうです。
大きなエビが4尾ほど入っていて、しかもスープにはエビ味噌がたっぷりと溶け出し、丼のなかはエビ祭り状態!
そのほかココヤシの新芽(ヨートマプラオ)やバイマックルー、レモングラスなどがどっさりと使われていて、ココナッツミルクのまろやかさと唐辛子の辛味、そしてエビの旨味が絡み合い、至極の一杯に仕上がっています。
トムヤムクンの他におすすめしたいのは、プーパッポンカリー。
脂っぽさがなくて食べやすく、カニがどっさり入っているのが特徴です。
店名 | メムトムヤムクン/แหม่ม ต้มยำกุ้ง บางลำพู |
営業時間 | 08:00-20:00 |
定休日 | 月曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/75aSZAM7kUa2DTJ3A |
エビだけじゃないトムヤムの魅力を【シリポーン ポーチャナー】
2店舗目に紹介するのは、サオチンチャー近くにある『シリポーン ポチャナー』という食堂です。
こちらのお店はムーデーンやムーグローブをウリにしている食堂ですが、トムヤムスープも揃えています。
さて、2店舗目の『シリポーン ポチャナー』で紹介したいのは、トムヤムクンではなく、白身魚入りのトムヤムプラー。
トムヤムの世界は、エビ入りの「トムヤムクン」だけではないことを知っていただきたいため、あえてトムヤムプラーを取り上げることにしました。
こちらのトムヤムプラーは白身魚だけではなく、魚卵も入った「トムヤムプラー+カイプラー(ต้มยำปลา+ไข่ปลา)」という珍しい1品です。
丼で出てきた魚卵入りのトムヤムプラーは、思っていたほど赤くはなく、どちらかといえばクリアスープの「トムヤム ナムサイ」に近い感じです。
レモングラスやこぶみかんの葉などのハーブがしっかりと香り、ほどよい酸味が口の中に優しく広がる。
白身魚は身に張りがあり、魚卵のプチプチとした独特の食感が楽しめます。
トムヤムに感動したあとは、ムーグローブも忘れちゃいけません。
肉は柔らかく脂身のいい感じに乗っていてカリカリ感もある。
ムーグローブとトムヤムプラーを同時に味わえる食堂はかなりレアだと思います。
店名 | シリポーン ポーチャナー/ศิริพรโภชนา |
営業時間 | 07:00-18:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/UFoyJe7BpPpDYPMj7 |
エビ味噌てんこ盛り!ワットアルン近く【クルアナイミー】
ワットアルン周辺グルメとして取り上げたこともある『クルアナイミー』。
私はこのトムヤムクンを食すために幾度も来店しているお気に入りの店舗です。
看板も出ていないし店舗も地味なので目立ちませんが、『クルアナイミー』は知る人ぞ知る人気食堂。
ここのトムヤムクンは有頭エビがふんだんに使われ、エビ味噌もてんこ盛りで、とにかく贅沢極まりない!
250バーツとお値段は高めですが、2人前はあろうかというボリュームです。
ご飯とビールは必須であることをお伝えしておきましょう。
『クルアナイミー』での注意点は、エビ味噌たっぷりのトムヤムを注文する場合、『トムヤムクン』ではなく『トムヤムマンクン(ต้มยำมันกุ้ง)』と伝える必要がある点です。
店名 | クルアナイミー/ครัวนายมี |
営業時間 | 17:00-23:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/bP7uGB5LrRtyZeHj8 |
毎年ミシュランが認める名食堂【ポー ポーチャヤー】
2019年から2024年までの6年間、毎年ミシュランのビブグルマンに選ばれているのが『ポー ポーチャヤー』です。
一見するとどこにでもあるような食堂ですが、その実力たるや、外観だけでは計り知れないものを秘めています。
毎年のようにビブグルマンに選ばれているだけあり、トムヤムクンは酸味や辛味、甘味のバランスが素晴らしく、濃度も絶妙。
これはトムヤム界でもトップレベルの一品です。
そしてもう1品は、カニの身を使った卵焼きことカイジアオプーです。
他店のカイジアオプーは、卵をたっぷり使い大きめのサイズが多いですが、『ポー ポーチャヤー』のものは一回り小さいサイズ。
しかも外はサクッと、中はふわふわに仕上がっていて、これで80バーツなのはコスパ高すぎです。
店名 | ポー ポーチャヤー/ป.โภชยา |
営業時間 | 09:00-13:00 |
定休日 | 土曜日・日曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/pHBLwf5xCH7wYLQb8 |
有名人も多数来店する【アン ターディンデーン】
ローカルグルメがひしめくターディンデーンというエリアで、多くの有名人が足を運ぶ『アン ターディンデーン』。
シーフードをメインとしたタイ中華系食堂で、ミシュランのビブグルマンにも選ばれている実力派です。
店内に入って驚いたのは、有名人たちを撮った写真の数々!
とはいえ僕はタイの有名人に疎いので、写真を見て知っている顔はほとんどいなかったのですが、これだけの著名人が来店しているとはすごい。
エバミルクでマイルドに仕上げたトムヤムクンは、程よい辛さで、なによりもぷりぷりとした食感のエビがたまらない!
さすが魚介類に自信を持っているだけのことはあります。
私が個人的におすすめしたい食べ方は、カオパットプー(カニチャーハン)との組み合わせ。
カニの風味が豊かなカオパットに、トムヤムクンのスープをかければ最強タッグ!
『アン ターディンデーン』はクリアスープのトムヤムクンナムサイもおすすめしたいので、余裕があればこちらもどうぞ。
店名 | アン ターディンデーン/แอน ท่าดินแดง |
営業時間 | 11:00-22:00 |
定休日 | 月曜日・日曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/52GSoFncwfjPr2eP9 |
白塗りおばさんの絶品トムヤムクン【ジェーゴップダープア】
1店舗目に取り上げた『メムトムヤムクン』の真向かいで営業しているのが『ジェーゴップダープア』。
営業時間がほとんど被っていないので、競い合っているわけではないでしょうが、こちらのトムヤムクンもタイ人からの評価が高い一杯です。
来店すると、まずは女性店主のジェーゴップさんの姿を見て驚かされるでしょう。
顔面は白塗りで大声で奇声を発し、爆音で音楽を流して踊りながら調理をするという、飲食店店主とは思えない異様な雰囲気をむんむん発しております。
それでも客席はタイ人で埋まっており、待っている人もいるほど大盛況。
彼女が叫んでいる様子を動画で撮ったり、話しかけているタイ人がいたりと、白塗りおばさんは人気キャラとて受け入れられているようです。
こちらが白塗りおばさんのトムヤムクンです。
真向かいで営業する『メムトムヤムクン』のように、エビ味噌がたっぷりと入っています。
お値段が200バーツなのに、使われている有頭エビは6尾と大奮発!
マナオの酸味とナムプリックパオのコクが口の中に広がり、そこにエビ味噌の風味が加わることで、クオリティの高い一杯に仕上がっています。
店名 | ジェーゴップダープア トムヤムクン/เจ๊กบด่าผัว บางลำภู |
営業時間 | 19:30-02:00 |
定休日 | 日曜日・月曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/8AxCGdgdYURm5jyV6 |
JJマーケット内にある超人気トムヤムクン【ヤムジェーウーン】
最後に紹介するのは、チャトゥチャックウィークエンドマーケット内で店舗を構える『ヤムジェーウーン』。
店名通り「ヤム(和え野菜)」をメインとしている食堂ですが、それらだけではなく様々なメニューを取り揃えています。
小さな店舗ですが、世界的に有名な食レポYouTuberマーク・ウィンズ氏の写真が掲げられていました。
エビが贅沢に使われたトムヤムクンは、エビ味噌も濃厚!
甘さや酸味、辛さもほどよく、バランスがいい。
ココナッツの新芽マプラオーンのシャキシャキ感も楽しめる一杯です。
トムヤムクンと一緒に食べたいのは、カニがたっぷり入ったカオパットプー。
トムヤムクンのスープをカオパットにかけ、スプーン上でエビとカニの身を出会わせるわけです。
店名 | ヤムジェーウーン/ร้านยําเจ๊อึ่ง |
営業時間 | 11:30-20:00 |
定休日 | 月〜木曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/1DC1aLQzPpUNoUTZ6 |
バンコク絶品トムヤムクンはYouTubeでも
今回の記事で取り上げた、私チョイスのトムヤムは7店舗。
トムヤムスープはエビ入りだけではなく、魚なども具材として入れることもあるので、あえて2店舗目に『シリポーン ポーチャナー』を入れてみました。
ユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、今後さらにトムヤムクンが注目されていくでしょう。
そして、さらにトムヤムクンが美味しい店が現れるに違いありません。
これからも本ブログや私のYouTubeでは、美味しいトムヤムの店を見つけ次第、どんどん取り上げていきます。
まずは今回紹介した7店舗からどうぞ!