【ヤワラートの古き良き食堂】カリカリ豚と羊の漢方煮込み｜コンプラスート

ご存知の通り、バンコクの中華街ヤワラートには古くから営業している旨い店が群雄割拠しておりまして、その数たるやすさまじい。
わたくしはかなりヤワラートを食べ歩いてきた方だとは思いますが、それでもいまだ足を踏み入れたことのない名店がわんさか存在しています。

自身のGoogle Mapはヤワラート界隈でチェックしている店が多過ぎて、どこへ行っていいやら分からなくなってくるほど。

これら全店をコンプリートするには人生を賭して食べ巡りしなければなるまい。
そう意気込んだわたくしは、以前から気になっておりました『コンプラスート』へと向かったのです。

羊の漢方煮込み【ゲェトゥンヤージーン】

店名だけ見ても何の店かまったく分からない『コンプラスート』。
Google Mapでメニューや写真を確認すると、ムーデーンやムーグローブ、カオナーガイ、スキーなどがあるようです。
ムーグローブといえばわたくしの大好物じゃござませんか。
ワットトライミット近くのお店にお邪魔すると、初老の女性店主が迎えてくれました。
まず注文したのはムーグローブやムーデーン、クンチアンなど全部乗せのカオムーデーン。

それだけでは物足りないと思いメニューを見て考えていたら、見たことのない料理名が記載されていました。
ゲェトゥンヤージーン（แกะตุ๋นยาจีน）。
直訳すると「羊の漢方煮込み」です。
なんとも珍しい料理を置いているじゃありませんか！
わたくしは未知なる料理はなんでも挑戦したがるので、もちろんこれも注文いたしました。

まずは全部乗せのカオムーデーン。
タレはそれほど甘ったるくなく、ムーグローブのカリカリ感と肉の柔らかさが素晴らしい。
ムーデーンとクンチアンとの３種盛りにしているので肉モリモリの贅沢な一皿です。
そしてゲェトゥンヤージーン。

羊だけにクセはあるのですが、思っていたほど強くはないし、僕は羊のこのクセが好きなのでたまらん！
そして特筆したいのは、漢方を入れているというスープです。
どういった漢方が使われているのかまったく分からないのですが、風味が奥深くて食べ始めたら止まらない。
肉体の内部から力が湧いてくるような気がしてくるのは、中国４千年の食の歴史が詰まっているからか！？

高いホスピタリティーと料理へのこだわり

食べ終わってから、女性店主に話を伺いました。

「私で3代目だよ。長いことやってるからね」

失礼ながら年齢を伺うと78歳。
見た目もそうですが、お仕事をしている動きも含め、もっとお若く見えたので驚きました。
彼女曰く、今となってはそんなにたくさんのお客さんに来てほしいわけではなく、少なくてもいいから「美味しい」と言ってもらいたい。
そうお話ししてくださったのが印象的でした。

僕が食べている時も、どの調味料を入れたらいいかとか親切にアドバイスしてくださった女性店主。
彼女のそういったホスピタリティーと、「美味しいと言ってもらいたい」という料理へのこだわりがあるからこそ、群雄割拠のヤワラートで長年営んでこれたのでしょう。

【コンプラスート】の全メニュー

『コンプラスート』にはほかにカオナーガイやスキーもあります。
タイ人がこの店を紹介しているYouTubeを観てみると、スキーも人気のよう。
次の機会に食べてみよう。

カオムーデーン　ヤーン　クンンチアン／ข้าวหมูแดง ย่าง กุนเชียง
カオナーガイ　クルアナイ／ข้าวหน้าไก่ เครื่องในหมู
スキーナーム　ガイ　ムー　ムックシェ／สุกี้น้ำ ไก่ หมู หมึกแช่
スキーヘン　ガイ　ムー　ムックシェ／สุกี้แห้ง ไก่ หมู หมึกแช่
ゲェトゥンヤージーン／แกะตุ๋นยาจีน