バンコクに星の数ほどあるイサーン料理店の中には、一つの料理を全面に出し、それを店名として掲げていることも珍しくありません。
例えば『ソムタムジェーソー』や『ガイヤーン ルントゥアン』、『ラープペットポーシー』、『チムチュムスティポン』といったお店です。
それぞれ、イサーン料理の代表格ともいえる「ソムタム」「ガイヤーン」「ラープ」「チムチュム」を店名に冠しています。
店名に使われる料理名は、ほとんどがこの4品。
その他のイサーン料理名を冠した店は見かけたことがありません。
そんなことを以前から思っていたのですが、ついに見つけてしまいました。
店名に「コームーヤーン」を掲げたお店です。
メニューが存在しない、難易度高めの注文スタイル
MRTサムヨット駅から徒歩5、6分。
ワット プラピレンという寺院のすぐ隣で営んでいる『ラックカナー コームーヤーン(คอหมูย่าง ลักคณา)』です。
店頭では、特製のタレに漬け込まれた豚のど肉・コームーがずらり。
仕込まれている量を見ただけでも、この店のコームーヤーンがどれほど人気なのかが伝わってきます。



昼食時間を過ぎた14時ごろに来店したにも関わらず、テーブル席はほぼ満席。
かろうじて座れたその席で、店主のおばちゃんから驚きの一言が飛び出しました。
「うちにはメニューがないんだよ」
壁には料理の写真と料金が並んでいるものの、料理名の記載はなし。
もちろんメニューブックもありません。

食べたいイサーン料理を紙に書いて注文するという、外国人にはとっても難易度の高い注文方法を採用しています。
私はといえば、おばちゃんとやり取りしながら、まずはどんなイサーン料理があるのかを確認。
彼女が推す料理を注文することにしました。
主役はやはりコームーヤーン
まずは必食のコームーヤーン。

ワイルドに盛り付けられたのど肉をひと口頬張ると、まず最初に来るのは表面の香ばしさ。
炭の香りをまとった焼きの風味に続いて、タレに染み込んだ旨みがじわっと広がっていく。
単なる“味の濃さ”ではなく、肉の奥までしっかりと浸透した深みのある味わいです。

タレの味付けはやや濃いめ。
だからこそ、カオニャオが合うんです。
肉の旨みと米の甘みが一体になって、口の中でほどけていきます。
コームーヤーンに合わせたのは、とうもろこしのソムタム「タムカオポート」。
そこに塩漬け卵のカイケムをトッピングしました。

ひと口食べると、まず広がるのはとうもろこしのやさしい甘み。
そのあとを追いかけるように、ナンプラーとライムが全体を引き締めてくる。
さらにカイケムのコクと塩気が加わることで、甘さに奥行きが生まれる。
シンプルな組み合わせながら、味の層がしっかりと重なっています。

コームーヤーンで満たされた口の中を、このソムタムがすっとリセットしてくれる。
そして気づけば、またコームーヤーンに戻ってしまう。
そんなループが止まらない組み合わせです。
20年続くローカルの実力店
「うちは創業して20年だよ」
そう話してくれたのは、ソムタムを叩いている女性店主。
ご夫婦で長年切り盛りしてきたそうです。

おじさんがコームーヤーン以外に勧めてくれたのは、店頭でタレに漬けられていたガイヤーンでした。

次回はこのガイヤーンを、持ち込みのビールと一緒に味わおう。
そう心に決めて、店を後にしました。
| 店名 | ラックカナー コームーヤーン(คอหมูย่าง ลักคณา) |
| 営業時間 | 11:00-21:00(土は23:00閉店) |
| 定休日 | 日曜日 |
| Googleマップ | https://maps.app.goo.gl/VsfMT8SAfY9qwncu8 |



