本ブログの特集として認知度が高まってきた1週間シリーズ。
一つのテーマに沿って、1週間タイ料理を食べ続けるという企画です。
これまでの特集では、カオマンガイやカオカームー、ソムタムといった料理のジャンルに特化した企画が多かったのですが、今回はエリアに焦点を当てます。
焦点を当てるエリアとは【シーロム】です。
シーロム通り一帶は、オフィスビルが立ち並ぶビジネス街。
それだけではなく、憩いの場として利用されるルンピニ公園、オープンしたばかりの大型商業施設ONE BANGKOK、夜になると盛り上がるパッポン通りやタニヤ通りと、あらゆる娯楽が集結したエリアです。
【シーロム】という地名は風車が由来だそうで、ナラティワート通りとの交差点に風車のモニュメントが立っているのは、地名の意味が込められています。
バンコクではもっとも古い通りに入るというシーロム通り。
それだけ歴史のある街だけに、グルメたちを唸らせる高級レストランから、B級グルメの代表格である屋台や食堂まで、旨い店がひしめきあっています。
今回の記事では、無数に点在するシーロムのグルメから10店舗をチョイス。
屋台などのB級グルメはもちろん、出張での会食で使えるレストランまで、幅広く選んでみました。
シーロムでの食べ歩きに必見と、胸を張って言える集大成の記事です
目次
もちもち麺に魅せられるクイジャップユアン
BTSサラデーン駅から西へ歩き、向かうのはパッポン2通り。
通りの入り口で営業しているのが『クイジャップユアン シーロム』です。
クイジャップユアンとは、米麺にタピオカ粉を混ぜてもちもち感を加えた麺料理で、ベトナム由来だと言われています。
本場ベトナムでの料理名はバインカン。
ラオスにも似た料理がありこちらではカオピアックと呼ばれています。
タイ東方地方はクイジャップユアンを扱う店が多く、私が東方地方の全県を旅しているときは、朝食としてよく食べていました。
ところがバンコクでは、扱う店がかなり少ない。
それだけに『クイジャップユアン シーロム』に出会った時、喜びひとしおでございました。
クイジャップユアンの特徴は、前述した通りもちもちとした麺です。
トッピングは揚げたホムデーンに豚ソーセージのムーヨー、豚ミンチなど。
注文時に忘れてほしくないのは、温泉卵でございます。
これは必須です。
もちもち麺を味わい、熱々のスープを啜る。
しばらく味わったら酢などを入れて味変の世界を味わい、そこまで楽しんだら温泉卵の儀式です。
卵にゆっくりと箸を入れると、とろとろと流れ出す美しい黄身。
この儀式を終えたなら、一気に啜ってしまいましょう。
店名 | クイジャップユアン シーロム/ร้านก๋วยจั๊บญวนสีลม |
営業時間 | 08:30-01:30 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/wv9xPXuWeLAPD1py5 |
9種のタレで楽しむシーロムの串焼き屋台
シーロムで屋台飯を楽しみたい方におすすめしたい1店舗が『ピチットバーントン ムーピン ナムチムガオヤン』。
店名があまりにも長いので、覚えられたことは一度たりともありませんが、私は何度も来店しているお気に入りの屋台です。
店名のピチットとは店主のお名前。
串焼きの屋台で、串の種類がとにかく多い。
それも嬉しいのですが、もう一つ、この屋台で特筆しておきたいのがナムチムです。
店名に掲げられている「ナムチムガオヤン」とは、9種類の付けダレという意味。
店名が表す通りテーブル上には9つのナムチムが並んでいます。
テーブルには無料で提供されている生野菜があり、これらを付けダレにつけて楽しむのもよし。
もちろん串焼きに付けて楽しむもよし。
それぞれが好きなように食べたらいいんです。
ちなみに、屋台でビールは売っていないので、飲みたい方は近くにコンビニがあるのでそちらで購入してください。
店名 | ピチットバーントン ムーピン ナムチムガオヤン/พิชิต บังทอง หมูปิ้งน้ำจิ้ม 9 อย่าง |
営業時間 | 24時間営業 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/mdF6Q5y8X7T3ujoL9 |
低温調理が決め手!新進気鋭カオマンガイ
私がこのカオマンガイ屋を知ったのは、Xのポストでした。
「ピンクのカオマンガイってそれほど美味しくない。アテンドで連れて行くならシーロムのカオマンガイの方が断然美味しい」
なかなか過激な内容だっただけに、かなりバズって私のところまで届いたのですが、この「シーロムのカオマンガイ」が気になったのです。
その方のポストにあったシーロムのお店とは『Hoong』というカオマンガイ屋でした。
『Hoong』では一風変わったカオマンガイが提供されているのですが、どのようなカオマンガイなのかは写真をご覧ください。
まず、鶏肉の色合いが異なっています。
目玉焼きをトッピングできるのも特筆したい点です。
さらに変わっているのは、カオマンガイをこのままいただくのではなく、配膳したあとスタッフがスープをかけるんです。
独創性あふれるカオマンガイであることがお分かりになったでしょう。
しかもしかも、ナムチムが3種も用意されています。
一つは定番のもので、一つは揚げ鶏用。
もう一つがオリジナルで、ネギがどっさりと入ったナムチムです。
温かいスープに浸った美しさが際立つ鶏肉を一口。
これまでの定番だった、蒸し鶏のカオマンガイからは想像できない柔らかさ!
これだけ柔らかく仕上がっているのは、低温調理が使われているからでしょう。
鶏ダシのスープがアクセントになっているのもポイント。
ネギたっぷりのナムチムは塩ダレのようで、日本人の舌に合う風味です。
これほどのこだわりを持って提供されているカオマンガイだけに、記事の冒頭で紹介した方が「ピンクのカオマンガイよりもこっちのカオマンガイ」とXにポストした気持ちが、少しだけ理解できたような気がしないでもないです。
Hoongは別記事で詳しく紹介していますので、ご覧になりたい方は以下をどうぞ。
店名 | Hoong |
営業時間 | 09:30-20:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/DjQNsKncVq74VfnY7 |
シーロムでソムタムといえば【Haiソムタムコンベント】
BTSサラデーン駅を降りてコンベント通りへ。
有名なタイ料理店がひしめくこの通りで、数十年前から多くの人たちに支持され、その名を広めたのが『Haiソムタムコンベント』です。
揃えているソムタムは数十種。
次から次へと入ってくるソムタムの注文は、店頭に立つ調理人がすり鉢状のクロックと、食材を叩く棒のサークを使ってポクポクと仕上げています。
初めて『Haiソムタムコンベント』へ来店した2016年当時は1店舗だけでしたが、今では支店も数店舗展開するまでに成長しました。
コンベント通りの本店に来店するのは、シーロム界隈で働くタイ人のほか、欧米人などの観光客、在住の日本人とバラエティーに富んでいます。
私が取材で訪れたとき、2階席は日系企業と思われる団体で占めていました。
私が注文したのは以下の4品です。
料理名の「コラート」とはナコーンラーチャシーマー県の別称で、この地で生まれたソムタムです。
一般的な名称はタムコラート(ตําโคราช)と呼ばれています。
特徴は、ソムタムタイにプラーラー(魚と米粉を発酵させた調味料)を使っている点。
クセのあるプラーラーの香りは、ソムタム初心者にとって「臭い」と感じるのですが、私はこれがないと物足らない。
春雨を使ったラープウンセン(ลาบวุ้นเส้น)はお気に入りイサーン料理のひとつ。
ナムプラーやマナオなどの調味料を吸った春雨と、豚ミンチのラープです。
魚醤の香りと酸味、辛味や優しい甘さをまとった春雨の魅力は、ヤムウンセンを凌駕していると個人的に思っています。
ナムトックガイヤーンは、他イサーン料理屋ではあまり見かけないこともあり、注文メニューの仲間入り。
ガイヤーンをナムプラーやマナオなどで和えている一品です。
これもビールに合うなぁ。
黒いもち米のカオニャオです。
イサーン料理には必須。
『Haiソムタムコンベント』の全メニューは以下の記事に載せています。
店名 | Haiソムタムコンベント/Hai ส้มตำคอนแวนต์ |
営業時間 | 11:00-21:00 |
定休日 | 日曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/vAMi7TNoCeY5kc3C9 |
店に辿り着くまでが困難シャコ乗せ飯が旨い食堂
シーロムを特集するにあたり、当初から必ず入れようと思っていた店舗です。
炒め物を中心としたメニューを揃える食堂で、この店で推したいのはシャコと卵を乗せたガパオライス。
贅沢にシャコを使ったガパオが150バーツとコスパ最高です。
店名にあるマハーチャイとはバンコクの隣県サムットサコーン県にある港町で、ここから仕入れた新鮮なシャコを使っています。
もう1品推したいのがトムヤムクン。
絶妙な風味のバランスで、トムヤム好きにはぜひ試してほしい一品です。
『クルアマハーチャイ シーロム』はGoogleマップのレビューにもあるように辿り着くのがとにかく難しい。
シーロム・ソイ5を進み、途中で左折。店舗が見えたら階段を上がって2階へと進みます。
私のYouTube動画で詳しい行き方を説明しているので、そちらも参考にしてください。
『クルアマハーチャイ シーロム』の全メニューは以下の記事に載せています。
店名 | クルアマハーチャイ シーロム/ครัวมหาชัย สีลม ซอยละลายทรัพย์ |
営業時間 | 08:30-19:30 |
定休日 | 土曜日・日曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/qMpkDTjhctqW2HKR6 |
シーロムで【ジェオホン】が食べられるなんて!
イサーンの鍋料理で知られているチムチュムは私の大好物ですが、『T.ルンロッド』ではぜひ【ジェオホン】を食べていただきたい。
ジェオホンとはイサーン鍋料理のひとつで、見た目はチムチュムそのものですが、スープに使っている材料が異なっています。
チムチュムはレモングラスやこぶみかんの葉、ガランガルで香りを付けたスープですが、ジェオホンはこれに牛の腸やホムデーンなどの香味野菜を入れ、店独自の味付けが施されているのが特徴です。
チムチュムよりも少しクセのあるスープですが、私にはこれがたまらない。
他にもムーガタ鍋をはじめさまざまな料理がメニューに並んでおり、何度も通いたくなるお店です。
『T.ルンロッド』の全メニューは以下の記事に掲載しています。
店名 | T.ルンロッド/ ร้าน ต.รุ่งโรจน์ |
営業時間 | 17:00-23:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/iTSS6GxjUE6BPALP7 |
シーロムの老舗フカヒレレストラン
シーロムでの人気店として名が挙がる『ホック フカヒレ レストラン』もラインナップに加えました。
日本人に愛されるフカヒレ専門店で、有名人も多数訪れるお店です。
一般的なフカヒレスープは醤油ベースで仕上げられていますが、『ホック フカヒレ レストラン』のものは豚骨スープを使用しているのが特徴。
日本人を意識したと思われる豚骨スープはじっくり煮込まれており、深いコクが感じられる、この店ならではの味わいです。
私が試してみたのは、炒めたバミー麺をスープに入れるという独自の食べ方。
フカヒレ入り豚骨ラーメンの完成です。
店名 | ホック フカヒレ レストラン/ฮกหูฉลาม |
営業時間 | 11:00-22:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/R7st8nErjq6zhFc69 |
屋台でイサーン料理なら【ラープペット ヤソートーン】
日本全国で50万人はいるであろう屋台ファンにおすすめしたいのが『ラープペット ヤソートーン』。
BTSチョンノンシー駅から徒歩5分ほどにあるイサーン屋台で、連日賑わう人気店です。
私は以前、この近くに居を構えていたのですが、頻繁に来店しておりました。
『ラープペット ヤソートーン』で注文してもらいたい料理は、店名にもなっているラープペット(ลาบเป็ด)。
アヒルのミンチ肉とハーブと和えた料理で、さすが店名を冠しているだけあって、ここのラープペットは絶品!
写真付きの英語メニューがあるため、タイ語が読めなくても安心して注文できます。
ただし、すべての料理名が掲載されているのはタイ語メニューのみですので、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
店名 | ラープペット ヤソートーン/ร้านลาบเป็ดยโสธร ปากซอยสีลม 9 |
営業時間 | 16:00-22:00 |
定休日 | 日曜日・月曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/C74ME6EN4evEWZ429 |
1957年創業タイスキ鍋の元祖【コカ スラウォン 本店】
シーロムの老舗店で外せないのが、タイスキ鍋で有名な『コカ スラウォン本店』です。
創業は1957年。
Wikipediaによると、シリチャイ・ファンペンソポーンさんと奥さんの2人で始めたのがきっかけです。
1984年に長男へ事業を引き継いだ後、事業を拡大。
1987年にはシンガポールに初の海外支店をオープンし、それを皮切りに日本や台湾など10カ国に進出しました。(現在、日本支店は全店閉鎖されています)
ちなみに、日本にも出店している『マンゴツリー』は、コカグループ傘下の店舗です。
『コカ スラウォン本店』には13年ぶりに訪れたのですが、店内は以前と比べて豪華な内装にリノベーションされていました。
スタッフから手渡されたメニューを見ると、タイスキ鍋だけでもさまざまなセットが揃っており、豚肉や牛肉に加えてシーフードも充実しています。
それだけでなく、スープは7種類から選べるようになっていました。
ナムスープガイ/น้ำซุปไก่
ナムスープマーラー/น้ำซุปหม่าล่า
ナムスープトムヤム/น้ำซุปต้มยำ
ナムスープガイマプラオオン/น้ำซุปไก่มะพร้าวอ่อน
ナムスープパック/น้ำซุปผัก
ナムスープイープン/น้ำซุปญี่ปุ่น
ナムスープトリュフ/น้ำซุปทรัฟเฟิล
スタッフのおすすめは、最上段の鶏スープ「ナムスープガイ」です。
数種類のタイスキセットがある中、選んだのはSuper Premium Beef Set。
オーストラリア牛とUS牛の組み合わせで、988バーツです。
どの牛肉も適度にサシが入り、極上の品質。
鶏のダシが香るスープでサッと火を通していただくと、牛肉の旨みが口の中に広がり、至福のひとときが訪れます。
野菜を追加すれば、スープの味わいがさらに深まり、どんどん旨みが増していきます。
『コカ スラウォン 本店』の全メニューは以下の記事に掲載しています。
店名 | コカ スラウォン 本店 |
営業時間 | 11:00−22:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/aXqn2Nu1GrTMbB9W9 |
洗練されたタイ料理の数々で舌鼓【スパンニガーイーティングルーム】
シーロムの10店舗目として最後に紹介するのは『スパンニガーイーティングルーム(Supanniga Eating Room)』です。
「スパンニガー(สุพรรณิการ์)」とは木の名前で、店舗のロゴに使われているのは、スパンニガーの木に咲く黄色い花だそうです。
2012年にトンロー通り沿いで開店し、数年後にはチャオプラヤー川沿いのターティンに、さらにサトーンにも店舗を展開しました。
今回紹介するのはサトーン店で、マハナコーンタワーの裏手に位置しています。
もともと「AUTHENTIC THAI EASTERN VS ISAAN CUISINE」をキャッチコピーにしていただけに、イサーン料理に重点を置いてはいますが、それだけではなく、タイ南部などの料理も扱いつつ、独自のレシピで進化を続けています。
『スパンニガーイーティングルーム』が本企画最後の店ということで、5品も注文いたしました。
オキアミを発酵させたガピ(กะปิ)でご飯を炒め、きゅうりや豚肉、干しエビなどで周りを彩ったタイ南部料理。
絶妙な香りが広がるガピご飯が決め手で、さまざまな食材の食感と風味が楽しめる贅沢な一品です。
グリーンカレーのゲーンキアオワーンには、プラーグライという魚のつみれが使われているのが特徴。
ほどよい甘さと香りのバランスが取れており、シェフの力量が感じられる奥深い味わいです。
キャベツのナンプラー炒めです。
たっぷりの油とナムプラーで炒めただけのシンプルな料理ですが、シンプルだからこそ難しさがあります。
『スパンニガーイーティングルーム』らしく、油っこさがなく、ナムプラーの風味が程よく感じられる仕上がりでした。
イサーン料理のヌアヤーンで、注文時にミディアムまたはミディアムレアの希望を聞かれるのはまるでステーキのよう。
運ばれてきたのはまさにステーキそのもの。添えられた串揚げは、ココナッツミルクで風味をつけたカオニャオを揚げたもので、料理名の「カオジー」がここに表現されています。
今回の注文の中で最も高額な一品。
ふわふわの卵焼きにたっぷりのカニの身を詰めた、カイヨックソンと呼ばれる料理です。
贅沢に使われたカニの身と、ふんわりとした卵焼きにほんのり効いたダシの風味が全体をまとめており、満足度はお値段以上です。
『スパンニガーイーティングルーム』の全メニューは以下の記事に掲載しています。
店名 | スパンニガーイーティングルーム/Supanniga Eating Room |
営業時間 | 11:30-0:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/hZhm49FCKvc3n4js5 |
シーロム10店舗はYouTubeでも公開しています
本企画はシーロムの10店舗を取り上げるという、史上空前の記事に仕上がりました。
老舗の有名店から屋台まで幅広く選定し、旅行者はもちろん、在住者や出張者にも役立つラインナップとなっています。
私のYouTubeチャンネル【NISHIO TRAVEL】では、本記事の10店舗を動画でも紹介しました。
そちらもご覧いただければ、より各店舗の雰囲気などを感じていただけると思います。
バンコクを中心としたローカルタイ料理店を紹介していますので、ぜひチャンネル登録を!