バンコクの名所であるワット・ポーや王宮などがあるエリアを旧市街といいます。
タイ政府観光庁(TAT)によると、、北と西、南にかけてはチャオプラヤー川、東はローブクルン堀までの地域をさしており、Googleマップで色分けすると以下のエリアです。
バンコクが誕生した1782年ごろから形成された街で、別名「ラタナコーシン島」とも呼ばれ、古くから建つ長屋や昔ながらの街並みを残し、老舗と呼ばれる飲食店も数多く点在していることから、歴史を楽しむための街歩きや、さまざまなタイ飯の食べ歩きが満喫できるエリアです。
旧市街の店でこれまで取り上げたことがあるのは、カオマンガイ『ランファー』、ニラ饅頭の有名店『カノムクイチャーイ ジェイトゥーイ』、豚の脳みそ入りスープ『ガオラオ サモン ムー』、太麺と細麺をミックスしたクイッティアオ『クイッティアオ スコータイ トロックナワー』、毎夜長蛇の列が出来るパッタイ屋『ティップサマイ』など。
いろんな店を取り上げていますが、これらはまだ一部で、バンコクの旧市街には私が訪れたことのない未知なる名店が潜んでいるんです。
旧市街で初めて出会った麺、カノムジーンハイラム
ひさしぶりに旧市街を訪れたのは、日本から来た方をアテンドするためでした。
私たちは巨大ブランコのサオチンチャーからDinso通りを北上。
Mahannop通りを左折し、『カノムクイチャーイ ジェイトゥーイ』でニラ饅頭を買い食べながらさらに東へ歩くと、角地にあるクイッティアオ屋に出会いました。
混雑しているわけでもなく、特に変わったところもない、ふつーのクイッティアオ屋。
なんとなしに覗いてみると、1点だけ他と変わった点があったことに気づきました。
麺が1種類しかない!
しかも一般的なクイッティアオ屋にはない、うどんのような麺です。
これと同じような麺に出会ったことを思い出しました。
スクンビット・ソイ26の超有名クイッティアオ店『ルンルアン』で見た、ギアムイー(เกี๊ยมอี๋)という麺です。
「この麺はギアムイーじゃないわよ。ギアムイーはもっと短いでしょ。これはハイナンヌードルっていうの」
私は確信を持ってギアムイーであると言い当てたつもりでしたがハズレ。
女性店主のワンさんは、ハイナンヌードル(海南麺)だと教えてくれました。
タイ語だとカノムジーン ハイラム(ขนมจีนไหหลำ)。
これまで何店舗ものクイッティアオ屋で食してきましたが、カノムジーン ハイラムなる麺に出会ったのは初めてです。
まったく異なった2種類のスープ
ワンさんが麺を茹で、スープを注ぎ、その丼を我々の目の前まで運んできてくれました。
クイッティアオには珍しいゴマがあしらわれ、茹で豚、揚げた豚のムーグロップ、酸味のあるタイの漬物パッカドーンなどがトッピング。
スープは日本の塩ラーメンのような色合いで、麺やトッピング具材、スープ、どれをとっても通常のクイッティアオとはかけ離れています。
白胡椒が使われパンチのあるスープ、腰はありませんがプリっとした食感が楽しめる米麺、それらに加えムーグロップのカリカリ感もある。
初めて食したカノムジーン ハイラムは新感覚なクイッティアオです。
好みに応じて器に入ったガピ(エビ塩漬け味噌)を少々入れると、クセのある独特の風味が楽しめます。
白胡椒を効かせたパンチのあるスープだけに、好き嫌いの個人差はあるでしょうが、これは私好み。
何気に来店し、未知なるクイッティアオに遭遇させるとは、旧市街の奥深さたるや底知れない。
「このスープだけじゃなく他にもスープがあるのよ」
ワンさんが教えてくれたのは、別の鍋で煮込んでいた茶色いスープでした。
メニュー最上段にあるヌア ペー ナムデーン(ヤギ肉スープ)で使われるとろみの効いたスープを使い、これに煮込んだ豚肉をトッピングしたカノムジーン ハイラムのようです。
ビーフシチューのように見えるスープですが、見た目ほどこってりしておらず、とろみを効かせているだけに熱々。
このスープがしっかりと海南麺に絡み、先の一杯とはまったく異なったカノムジーン ハイラムに仕上がっています。
忘我、無我夢中、盲目的に麺をすすり2杯立て続けに平らげたため、私の額からは滝のように汗が流れ出て、顔面ずぶ濡れ。
豪雨の中を全力疾走したかのようなツラをしておりましたが、ワンさんはそんな私の質問に笑顔で答えてくれます。
「お客さんで多いのはシンガポール人、マレーシア人、欧米人ね。タイ人はふつうのクイッティアオが好きだから意外と少ないの」
中国から渡ってきたご両親が開業
創業20年以上という『カノムジーン ハイラム ゴールン』は、中国の海南からタイへ渡ってきたご両親が始めたお店だと言います。
ワンさんというお名前は、ご両親が中国人だったこともあるのでしょう。
「両親は中国人だけど、私は中国語をまったく話せないわよ(笑)」
中国語は話せなくとも、欧米人客が多いこともあってか、聞き取りやすい流暢な英語を話すワンさん。
彼女は毎日、朝4時から仕込みを始めて7時にオープン。
定休日を設けることなく毎日お店を開け、来店する方々へカノムジーン ハイラムを作り続けています。
ワンさんいわく、2つのスープで使っている材料は、豚骨、塩、胡椒のたった3種で、麺は自家製だそうです。
バンコクでほとんど見かけることのないカノムジーン ハイラム。
この麺を食べられるお店はバンコクでいったい何店舗存在しているのか…。
「私が知っている限りだと、バンコクに5店舗ぐらいしかないと思うわよ」
ということは、他に4店舗はあるはず。
他店のカノムジーン ハイラムをすべて探し出し、制覇してみせます!
【SHOP DATA】
「カノムジーン ハイラム コールン(ขนมจีน ไหหลำ โกหลุน)」
TEL:089-010-2123
OPEN:7:00-15:00(無休)
ADDRESS:Thanon Mahannop, Khwaeng Sao Chingcha, Khet Phra Nakhon, Krung Thep Maha Nakhon 10200
PRICE:カノムジーン ハイラム(ขนมจีนไหหลำ)40B、ヌア ペー ナムデーン(เนื้อแพะน้ำแดง)140B、カオムー トゥン ムーグローブ(ข้าวหมูตุ๋น-หมูกรอบ)