2021年3月24日:情報を更新しました。
Wikipediaによると、世の中に「B級グルメ」なる言葉が現れたのは1985年ごろだそうです。Wikipediaが定義するB級グルメとは
B級グルメとは、安価で、贅沢でなく、庶民的でありながら、おいしいと評判の料理のことである。1985年・1986年ころから使われるようになっている用語・概念である。
なのだとか。伝統料理のような歴史を持っておらず、比較的新しい料理で、安く、気軽に食べられる、ご当地料理が該当しているように思います。
ネット上で取り上げられているB級グルメを調べてみると、亀山みそ焼きうどん、太田焼きそば、十和田バラ焼き、ひるぜん焼きそば、津山ホルモンうどん、味噌カレー牛乳ラーメン、伊那ローメン、といった一度もお目にかかったことのないラインナップがヒットしました。
日本国内はB級グルメだらけですが、ではタイ料理に目を向けてみるとどうなのか。カオマンガイ、クイッティアオ、カオカームー、ガパオライス、パッタイ、ガイヤーンなどなど。どの料理名を見てもB級グルメにしか見えやしない。
タイの屋台料理はB級グルメの宝庫であり、突き詰めると「タイ屋台料理=B級グルメ」という構図が成り立っているのではないか。
屋台飯がどこでも食べられるバンコクだけに、「B級グルメの食べ歩き」は「屋台飯食べ歩き」と同意語といっていいでしょう。
そこで私が提案したいのは、バンコクなら容易に楽しめる「B級グルメ食べ歩き」ではなく、さらに進化させた「レアB級グルメ食べ歩き」なるもの。このタイトルが意味するのは、
「他ガイドブックではちょっと載ってない珍しいB級タイ料理グルメをバンコクで食べ歩こうじゃないか」
という、旧世代のおっさんによる、新時代に向けたグルメ企画です。
私がレアB級グルメとして認定したのは、これまで『激旨!タイ食堂』内で紹介したものや、今回新たに取り上げる店を含めて全15店舗。
初めてタイへ来る初心者から、年に5回以上は訪タイし第二言語がタイ語なんていうツワモノまで楽しめるよう、取り上げる店を吟味いたしました。
各店舗の記事で冠した小見出しの左は店名、右は料理名という順で表記しています。
600店舗以上を食べ歩いた私が選んだ「バンコクのレアB級グルメ」14店舗で、バンコクの新しい食べ歩きを満喫してください!
目次
- 1 『ジュブジュブカオマンガイ』四種盛りカオマンガイ
- 2 『ノンリムクローン』カニの身入り卵のふわふわ炒め(カイコンプー)
- 3 【閉店】『ラーンケー ヌアトゥン ボンガイ』牛肉とろとろガパオライス(パット ガパオ ヌアトゥン)
- 4 『AEESA ROT DEE』カレークイッティアオ(クイッティアオ ゲーン)
- 5 『ジェーポーン ランルートシン』豚足入りクイッティアオ(クイッティアオカームー)
- 6 『ソイ6ポーチャナー』アヒル肉のガパオライス(ガパオペット)
- 7 【閉店】『タムパックワン ジェーワン』鶏の壺焼き(ガイオップオーン)
- 8 『ジェーベンオディアン』鉄板クイッティアオ(クイッティアオ パットギーガウ)
- 9 『369パッタイグンソッド』揚げ麺パッタイ(ミーグローブ パッタイ グンソッド)
- 10 『クイッティアオ クアガイ アーン』クアガイ
- 11 『ポークルアトゥアン』烏骨鶏スープ(ガイダムトゥンヤージン)
- 12 『パーチン ホイクレーン ルアック』貝専門屋台
- 13 『トゥーファン プーパンピー』トゥーファン
- 14 『チュンアンラック』カオプララームロンソン
『ジュブジュブカオマンガイ』四種盛りカオマンガイ
1軒目に「レアB級グルメ」として登場していただくのは、BTSアーリー駅近くにあるカオマンガイ専門店『ジュブジュブカオマンガイ(จุ๊บ จุ๊บ ข้าวมันไก่)』です。
一般的なカオマンガイとカオマンガイトート(鶏唐揚げ乗せカオマンガイ)があるのは他店と変わらないのですが、この店には4種類の味付けをした鶏肉をトッピングした”四種盛りカオマンガイ”があることで、日本人の間でも知れ渡りました。
バンコクにはカオマンガイ専門店が無数にあるのに、カオマンガイをアレンジした店をほとんど見ることがありません。
日本ならば間違いなく「カレーカオマンガイ」や「チーズ乗せカオマンガイ」「鶏の生肉カオマンガイ」といったアレンジに始まり、もっとおかしなことになっていくと「カオマン豚」といった原型が分からない料理にまで発展していくでしょう。
カオマンガイをアレンジした希少な専門店『ジュブジュブカオマンガイ』。レアB級グルメの食べ歩きは、ここからスタートです。
>>お店の詳細はこちらの過去記事でご覧ください。
『ノンリムクローン』カニの身入り卵のふわふわ炒め(カイコンプー)
エカマイ通りを北上し、左手に見えるエカマイ ソイ21へと左折。数十メートル直進すると見えてくるのが、運河のそばで営業する『ノンリムクローン(หน่องริมคลอง)』です。店名にある「クローン(คลอง)」は運河を意味するタイ語。運河脇で店を営み続け20年以上が経つといいます。
駅からバイクタクシーに乗らなければならず、しかも立地場所は小汚い運河のそばだというのに連日満員。持ち帰りや、LINEマンなどのデリバリーサービスでの注文も殺到し、注文してから30分ほど待たされることは珍しくありません。
『ノンリムクローン』の評判をここまで高めたのが、カイコンプーというメニューです。溶き卵にカニの身をどっさりと入れ、ふわふわに仕上げた一品。
器に盛られたカイコンプーは眺めているだけで生唾が出るほど見目麗しい。カニの身がふんだんに使われてたふわふわのカイコンプーが旨くないはずもなく、食す者を即座に黙らせるだけの力を持っています。
この一皿はB級グルメの中でも特Aランクといっていいでしょう。
他タイ料理店で見ることはほとんどないので、超レアB級グルメです。
>>お店の詳細はこちらの過去記事でご覧ください。
【閉店】『ラーンケー ヌアトゥン ボンガイ』牛肉とろとろガパオライス(パット ガパオ ヌアトゥン)
小見出しに冠した「牛肉とろとろガパオライス」という名は私が命名したものです。
煮込んだ牛肉のヌアトゥン(เนื้อตุ๋น)を使ったガパオライスで、これが絶品! 『ラーンケー ヌアトゥン ボンガイ』は、もともとヌアトゥンを使ったクイッティアオ屋なので、煮込み牛肉が旨いのは当然といえば当然です。MRTルンピニ駅から近いこともあり、訪れる日本人客も少なくありません。
牛肉とろとろガパオライスのほか、私がおすすめしたいのはモーファイ鍋。ヌアトゥンやルークチン ヌア(牛肉のすり身だんご)、野菜類などを投入した鍋で、深みのあるスープには辛さはなく、日本人の舌に合う味わいです。
胃袋に余裕があるなら、牛肉ガパオライスだけじゃなくモーファイ鍋もぜひ!
『AEESA ROT DEE』カレークイッティアオ(クイッティアオ ゲーン)
今の10代や20代には当てはまらないのかもしれませんが、私の年代(40代)で「カレーが嫌いだ」という人は少数派だと思います。小学生時代、晩御飯にカレーが登場したら嬉々としてはしゃいでいた安上がりな子供でした。
そんな安上がり感は40代になっても残存しており、カレークイッティアオに出会ったときは、およそ30年ぶりにカレーで心が躍りました。
カレークイッティアオなんてどこにでもありそうなメニューですが、カオソーイはあってもクイッティアオはほとんど見かけない。
カオマンガイと同じで、アレンジがほとんど施されないタイ料理のひとつです。
私がカレークイッティアオに出会ったのは、カオサン近くにある『AEESA ROT DEE』。マレー系ムスリムの食堂で、カオモッガイやマタバ、春巻き、牛肉の串焼きといった料理が並んでいます。
カレークイッティアオという名前は正式な名称ではなく、本来の料理名はクイッティアオ ゲーン(ก๋วยเตี๋ยวแกง)。
トッピングは牛肉と鶏肉から選べます。
カレースープにはピーナッツが入っていて香り高く、ほどよい辛さ。
クイッティアオの旨さもさることながら、地元の人ばかりが集いローカル感あふれる店の雰囲気もおすすめです。
>>お店の詳細はこちらの過去記事でご覧ください。
『ジェーポーン ランルートシン』豚足入りクイッティアオ(クイッティアオカームー)
カレークイッティアオの次は、豚足をトッピングしたクイッティアオを紹介します。豚足のタイ語はカームー(ขาหมู)。巨大なカームをクイッティアオに乗っけたのが『ジェーポーン ランルートシン』です。
豚足をクイッティアオに乗せるだけでも珍しいのですが、この店ではタイ料理ではほとんど見ない長ネギを使っているのもポイント。スープの味わいも含め日本人に馴染みやすい風味に仕上がっています。
もともとはカームーとアヒル肉のクイッティアオ(クイッティアオ ペット/ก๋วยเตี๋ยวเป็ด)の店でしたが、ある日お客さんから
「クイッティアオにカームーを乗せてよ」
と要望があったことから、豚足乗せクイッティアオを始めるようになったと言います。
豚足を乗せ、長ネギをトッピングしているだけでも特徴としては十分ですが、さらに特筆しておきたいのは丼のサイズ。
通常のクイッティアオより倍近くある大きな丼を使用し、麺やスープも2倍以上!
「旨い」だけではなく、B級グルメの必須項目「安い」「腹一杯」を見事にコンプリートしている一品です。
私のインスタアカウントでは、こちらのお店を動画で紹介しています。
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『ソイ6ポーチャナー』アヒル肉のガパオライス(ガパオペット)
MRTサムヤーン駅最寄りのチュラロンコン大学の裏手にかけての一帯には、古くからの食堂が集まっており、旨いタイ飯にありつける聖地です。それこそ名店と呼ぶにふさわしい店が軒を連ね、チュロランコン大学の学生は10代のころからこういった店々に馴染んでいるのだから、美食家が多いんじゃないだろうか、なんて思う次第です。
「バンコクでの食べ歩きといえばヤワラート!」と、誰彼もが口にするようなことを泡沫飛ばしておっしゃる方がおられますが、サムヤーン一帯を侮っちゃいけません。
この界隈だけを食べ歩いたとしても、3日間は楽しめるでしょう。
サムヤーンの食べ歩きでぜひ立ち寄ってもらいたいのが、アヒル肉をウリにしている食堂『ソイ6ポーチャナー』です。
バミーやラートナー、カオナーペットなど大衆タイ中華メニューが数々ありますが、この食堂で忘れてはならないのがアヒル肉のガパオライス。
前夜から仕込んでいるというアヒル肉は、燻製された香りがほのかに感じられ、ガパオの香りとも相性がよい。
私がNHK BSの『二度目のバンコク』に出演した際、番組内ではこちらの食堂を取り上げていただきました。
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【閉店】『タムパックワン ジェーワン』鶏の壺焼き(ガイオップオーン)
※2019年8月現在、閉店していることを確認いたしました。
大きな壺の中に鶏肉を並べ、炭火で蒸し焼きにするガイオップオーン(ไก่อบโอ่ง)。これに似た料理でガイヤーン(ไก่ย่าง)がありますが、これは鶏肉を炭火などで直接で焼く調理法であり、ガイオップオーンとは異なっています。
ガイオップオーンを調理するには巨大な壺が必要なため、バンコクでこの調理法を取り入れている店はほとんどありません。
貴重な数少ない店の一つが『タムパックワン ジェーワン』。巨大な壺2つを開店前からフル回転させ、鶏肉をどんどん焼いていきます。
炭火を直接当てることなく蒸し焼きにしているため、ガイヤーンに比べ鶏肉の焼き上がりが柔らかい。肉汁がしたたるジューシーさもあり、ランチタイムに毎日満席になるのも頷けます。
ガイオップオーンの焼きたてを狙うなら開店直後の11時30分に来店するのがおすすめ。12時近くになるとドドっと来客が増え、座る余地がなくなってしまうかもしれません。
『ジェーベンオディアン』鉄板クイッティアオ(クイッティアオ パットギーガウ)
口にはマスクを、目にはプロテクターグラスを装着し、リズム良くフライパンを振る初老の女性。中華街ヤワラートの東端にあたる中華街門のそばで営業する、創業40年以上の『ジェーベンオディアン(เจ๊เบญ โอเดี้ยน)』を支える女性店主です。小さな体躯ですがフライパンをさばくスピードと腕前は男勝り。持ち帰りの注文を含め、次から次へ料理を仕上げていく様は、60歳を超えているようには見えない圧倒的なパワーを感じます。
『ジェーベンオディアン』で出てくる料理は、皿を使わず全て鉄鍋で提供されるのが特徴のひとつ。カオパット、ラートナーといった定番の中華系タイ飯のほか、同店の推しは「クイッティアオ パットギーガウ/ก๋วยเตี๋ยวผัดงี่เง่า」という麺料理。センヤイ(太麺)と豚肉、レタス、エビ、玉子を炒めている一品で、パッタイでもなければクアガイでもない、『ジェーベンオディアン』だけのオリジナル料理です。
見ていると惚れ惚れしてしまう彼女のフライパンさばき。YouTubeにアップした動画で彼女の勇姿をご覧ください。
【SHOP DATA】
「ジェーベンオディアン(เจ๊เบญ โอเดี้ยน)」
TEL:081-814-7479
OPEN:09:00-15:00(月曜日休み)
PRICE:クイッティアオパットギーガウ(小)50B(大)100B
『369パッタイグンソッド』揚げ麺パッタイ(ミーグローブ パッタイ グンソッド)
タイ料理の中でも広く知られているパッタイは、それほど歴史が深くなく、タイ政府は1945年に「パッタイは国民食」と掲げたと言われています。
パッタイは辛さがなく、クセのある食材なども使われていないことから、日本人だけではなく欧米人にも好まれているタイ料理のひとつ。行列のできるパッタイ専門店『ティップサマイ』では、行列の中に欧米人旅行者が並んでいることも珍しくありません。
パッタイも他タイ料理と同様、アレンジされることはほとんどないのですが、パッタイ専門店『369パッタイグンソッド』では、揚げ麺(ミークローブ)を使った「ミークローブ パッタイ クンソッド/หมี่กรอบผัดไทยกุ้งสด」という変わったメニューを提供しています。
揚げ麺にトッピングされているのは、エビ、豆腐、ニラなど、一般的なパッタイの具材を炒めたものにピーナッツ。これらをタマリンドソースでまとめています。
ラートナーにも見える一皿ですが、テイストはしっかりとパッタイ。パリパリとした麺の食感を味わいつつ、甘すぎないタマリンドソースがほんのりと染み込んだ麺もいただく。
新しいパッタイの世界、ここにあり!
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『クイッティアオ クアガイ アーン』クアガイ
私がクイッティアオクアガイ(ก๋วยเตี๋ยวคั่วไก่)という料理に初めて出会ったのは、『激旨!タイ食堂』を運営し始めて半年ほどが経った頃です。ご存じない方のために説明すると、センヤイ(太麺)を鶏肉や卵などと一緒に炒めたもので、シンプルな料理なんですが専門店が少なく、料理名を聞いたことすらないという方もいるでしょう。
実際、クイッティアオクアガイの専門店って、私が知る限りだと10店舗ほどしか知りません。
B級感あふれる料理であり私の好きなタイ料理のひとつなんですが、バンコクにある数少ない店舗の中でもっともおすすめしたいのが、ヤワラート近くにある『クイッティアオ クアガイ アーン(ก๋วยเตี๋ยวคั่วไก่แอน)』です。
同店は、2018年12月に発表された「ミシュランバンコク2018」の、ビブグルマン部門に選ばれており、クアガイ専門店の中でも頂点と称していい存在。実際、同店はオープンしてから閉店するまで客足が絶えず、タイ人からの評判はビブグルマン獲得以前から高い食堂でした。
評判のクアガイはどのように調理されているのか。調理場は店の裏手にある路地にあり、クアガイを調理している様子が伺えます。
ガス火ではなく、炭火を使っている点が極上クアガイを仕上げるポイントに違いない。調理人の目の前に立って観察できるのは貴重なシチュエーション。私は仁王立になり、彼らのプライパンさばきを拝見させてもらいましたが、無駄な動きがひとつもなく美しい。
私のような無駄ばかりの人生とはまったく異なっており、だからこそ絶品のクアガイを提供できるのでしょう。
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『ポークルアトゥアン』烏骨鶏スープ(ガイダムトゥンヤージン)
BTSサパーンタクシン駅から、ジャルンクルン通りをソイ91まで南へ下ると、右手斜め前には『アジアティークザリバーフロント』が見えてきます。目指してもらいたいのは右手ではなく、左手に伸びる薄暗い路地のソイ91。入り口にたむろしているバイタクのおっちゃんたちを通り過ぎると、生活感しか感じられない路地がまっすぐ伸びており、20〜30メートルほど歩いたら左折。
左へ曲がるとさらに生活感が濃厚になるのですが、この路地の最奧にあるのが老舗スープ店『ポークルアトゥアン(ร้านพ่อครัวเถื่อน)』です。
一般の旅行者ではたとえ場所を知っていても見つけられないような、民家しかない静かな路地にぽつんと建ち、看板も出ておらず、食堂であることすら判断しづらい店構え。
それでもこの食堂は創業して50年近くが経つ老舗で、あらゆる媒体から取材を受けているスープの名店でもあるんです。
路上に並べられた蒸し器の中には各種スープが器に入れられ、蓋を開けると湯気とスープの香りが立ち上り、早くもクラクラしちゃう。
蒸し器で温められているスープは、日々15種は用意しているといいます。
数あるスープの中から私が推したいのは、「ガイダムトゥンヤージン(ไก่ดำตุ๋นยาจีน)」。スープには入っている真っ黒の鶏肉は、タイではあまり見かけない烏骨鶏です。
ほろほろの鶏肉と、あっさりしながらしっかりとダシのきいたスープ。これとご飯があれば私は満足です!
『ポークルアトゥアン』はスープだけではなく、白ニラと豆腐を炒めた『トゥアゴー クイチャーイカオ ペットトウフー(ถั่วงอกกุยช่ายขาวผัดเต้าหู้)』を始めとした、炒め物も美味しいのでぜひどうぞ。
私は以前、近くに住んでいたので出勤前にときどき来店しスープとご飯をいただいていたんですが、今から思い返すと贅沢な朝食だこと。
現在は引越しして少し離れてしまいましたが、ふと食べたくなるときがあり、ときおりジャルンクルン ソイ91まで足を運んでいます。
私のYouTubeチャンネルでも紹介していますので、そちらもご覧いただければさらに雰囲気を感じてもらえると思います。
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『パーチン ホイクレーン ルアック』貝専門屋台
夜を迎えたヤワラート(中華街)は、煌びやかなネオンに彩られ、日中とは違った顔を見せてくれます。それだけではなく、夜になるとヤワラート通りの両側には無数の屋台が現れ始め、ストリートフードの街に変貌します。
あらゆるタイ料理の屋台が現れる中、唯我独尊といった程で異彩を放っているのが、ソイテキサスにある『パーチン ホイクレーン ルアック(ป้าจิน หอยแครงลวก)』。この屋台にあるのは、たった2種類の貝のみ! ひとつは店名にも冠されているホイクレーン(หอยแครง)。もうひとつがホイマレンプー(หอยแมลงภู)。
ホイクレーンは赤貝に似た貝で、日本語ではハイガイと呼ばれています。ホイマレンプーはムール貝に似た貝。
『パーチン ホイクレーン ルアック』には、ご飯もなければビールもない。たった2つの貝しかメニューにございません!
2種の貝だけで腹を満たそうとすると、どれだけ食わなければならないんだろうか。
そんなことを考えながら、山積みになった貝を眺め、ひとつひとついただく。
白飯は要らないけど、せめてビールが欲しい…。
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『トゥーファン プーパンピー』トゥーファン
アヒル肉ガパオライスの『ソイ6ポーチャナー』の項でも書きましたが、MRTサムヤーン駅周辺は古き食堂が多いエリアです。私の推測ですが、ヤワラートが近いことが理由でしょう。華南に住んでいた華人がタイへ移った当初、旧市街地に多く住んでいましたが、旧市街地から移るよう命じられ、現在のヤワラートに中華街を形成していきました。しかし華人たちは中華街だけではなく、ヤワラートから伸びるラマ4世通りでも食堂を出店し始めました。そこから徐々に東へと伸びていき、サムヤーン界隈にも中華系タイ食堂が増えたいったのだと思います。
そんなサムヤーンエリアからもう1店舗ご登場いただくのは、トゥーファンという具入りスープを置く『トゥーファン プーパンピー(ตือฮวนปู่พันปี)』です。
トゥーファンとは、からし菜に似た野菜を漬物にした「パッカードーン(ผักกาดดอง)」や豚の臓物を入れたスープ。パッカードーンを入れていることにで、酸味の効いたスープになっています。
トゥーファンを専門に扱っているのはココだけではないですが、雑誌やテレビなどのメディアから取材を受けているので、もっとも知られた専門店ではないかと思います。
酸味の効いたトゥーファンのお供には、もち米の腸詰「ジュックビー(จุกบี้)」を選んでいただきたい。
特に味付けがされているわけでもなく、タレとして出てくるシーユーダムに付けていただきます。
これが酸味のあるトゥーファンに合うんです。
>>お店の詳細はこちらの過去記事でご覧ください。
『チュンアンラック』カオプララームロンソン
最後に紹介するのはMRTクロントゥーイ駅から徒歩で5分ほどにある『チュンアンラック(จึงอังลัก)』。どこにでもあるようなタイ食堂ですが、かなり珍しいタイ飯がメニューにあるんです。料理名は「カオ プララーム ロンソン(ข้าวพระรามลงสรง)」。『王様の沐浴』というタイ語が由来となったぶっかけ飯で、空芯菜や豚肉にピーナッツのタレをかけるだけのシンプルな料理です。
甘ったるいのかと思いきやそれほどでもなく、ピーナッツの香りは食欲を刺激し、てっぺんに乗っているチリペーストは辛くなくほんのりと香りを付けてくれる程度の脇役に徹しています。
在京タイ王国大使館のWebサイト上によると、タイ国内でこの料理を扱うお店が少なくなっているのだとか。
『チュンアンラック』では希少になるつつあるこの料理の他に、店頭で焼いているムーサテも注文。豚肉は柔らかで、こちらのピーナッツソースも甘ったるくない。酢漬けの野菜をつまみながらいただきます。
店主の男性にお話を伺いしました。
「うちは今の場所で20年ほど営業しているけど、それ以前はヤワラートで100年ほどやっていたよ」
1世紀を超える老舗店の『チュンアンラック』。ここの「カオ プララーム ロンソン」は、タイ飯B級グルメファンなら必食でしょう。
【SHOP DATA】
「チュンアンラック(ร้านจึงอังลัก)」
TEL:02-252-9390
OPEN:8:00-17:00(基本無休)
ADDRESS:1921/46 Rama IV Rd, Khwaeng Lumphini, Khet Pathum Wan, Krung Thep Maha Nakhon 10330
PRICE:カオプララームロンソン 普通盛り45B 大盛り50B、ムーサテ70B