北タイを代表する街、チェンマイ。1269年に築かれたランナー王朝の中心として栄えたこの街は、古都としての魅力をいまでも残し、のんびりとした雰囲気を楽しめます。
チェンマイという街を知らない方でも、夜空に無数のコムローイ(ランタン)が打ち上げる「イーペン祭り」なら知っている方がいるかもしれません。
毎年陰暦の12月(新暦では10月〜11月)の満月の夜にコムローイを打ち上げるイベントです。
以下の写真は、2022年に催されたイーペン祭りのイベント『CHIANG MAI SKY’S LANTERNS FESTIVAL2022』の模様です。
目次
- 1 北タイ料理名物のカオソーイとは
- 2 チェンマイのカオソーイ専門店にムスリムが多いワケ
- 3 ど定番の店を外した9店舗のカオソーイ食堂
- 4 薫り高い濃厚スープが病みつきに「カオソーイ メーマニー」
- 5 甘みと辛みが際立つこってりスープ「カオソーイ ルンプラキット」
- 6 行列覚悟の超人気店「カオソーイ クンヤイ」
- 7 自家製麺で勝負「カオソーイ ノンホー」
- 8 麺にしっかり絡むスープ「カオソーイ ウアラーイ」
- 9 ムスリム系 自家製麺を使った老舗「カオソーイ パーパイ」
- 10 創業年数なんと100年!「カオソーイ スターシニー3」
- 11 雲南ムスリム市場の近く「カオソーイ フンファー」
- 12 ムスリム系カオソーイ最強か!?「カオソーイイスラム」
- 13 奥が深いカオソーイの世界
北タイ料理名物のカオソーイとは
ランナー王朝が栄えたこともあり、北タイでは地域独特の料理が発達しました。
「北タイ料理」と呼ばれるタイ料理です。
この北タイ料理の代表的な存在といえば、日本のタイ料理店でも見かけるカオソーイ(ข้าวซอย)。
各種カレースパイスを効かせたスープにココナッツミルクを調和させ、小麦麺を主役にして、揚げ麺や鶏肉、煮込んだ牛肉、ルークチン(魚や豚のすり身)などの具材をトッピングした麺料理です。
バンコクでもカオソーイを扱う店はありますが、街のあちこちで見かけるほどではなく、事前にリサーチしておかないとカオソーイ難民になること必至。
「激旨!タイ食堂」ではカオソーイ難民を一人でも減らすべく、バンコクの旨いカオソーイ店をピックアップした特集を組みました。
「タイへ来たら必食!バンコクのカオソーイが旨い14店舗を一挙公開します」という記事です。
この記事さえチェックしておけば、バンコクでカオソーイ難民になることはないはず。では、カオソーイの本場チェンマイはどうなのか。
メニューにカオソーイを置く店で紹介したことがあるのは、『フアンムアンジャイ』、『Krua Phech Doi Ngam』、『Huen Phen』の3店舗のみ。
カオソーイを専門に扱う店は、取り上げたことが一度もありませんでした。
チェンマイに行けば毎度のように専門店へ赴きカオソーイを堪能しているにも関わらず、1店舗も取り上げたことがないのはひどい有様。
そういったこともあり今回、チェンマイに数泊滞在しカオソーイ専門店を食べ巡ってきました。
チェンマイのカオソーイ専門店にムスリムが多いワケ
カオソーイは北タイだけではなく、ラオスでも一般的に食されています。
ラオス風カオソーイはタイのようにスパイスが使われておらず、豚ひき肉をトッピングした、担々麺のようなスタイル。麺は小麦麺ではなく幅広の米麺です。
一方タイのカオソーイは、中国・雲南省の回族によって伝えられたと言われ、複数のスパイスを用いたカレー風味に仕上がっています。
回族とは中国の少数民族で、イスラム教を信仰している中国最大のムスリムの集団。
そんな彼らによって伝えられた料理なので、豚肉が使われず、鶏肉や牛肉のトッピングが好まれていきました。
私が来店したカオソーイ店のうち、ムスリムの方が運営していると分かったのは『カオソーイ パーパイ』『カオソーイ イスラム』『カオソーイ フンファー』『カオソーイスタシニー3』。
北タイ料理の代名詞とも言われるカオソーイですが、ムスリムと密接に関係していることがお分かりいただけるでしょう。
ど定番の店を外した9店舗のカオソーイ食堂
今回私が選んだ店のポイントは、超ど定番の店を外したことが1点、もう1点は店名に「カオソーイ」が冠されていることの2点です。
まず、超ど定番のカオソーイ食堂とは『カオソーイ サムーチャイ』と『カオソーイ ラムドゥアン』。中心部からやや離れた場所に立地しているものの、ブログやガイドブックには必ず掲載されているだけに、繁忙時間帯になると満席必至。
どちらも美味しいとは思いますが、ガイドブックの常連店をあえて紹介することもなかろうと、今回は外しました。
2店舗は近くに立地しているのは、興味があれば食べ比べてみてください。
さて、本記事で取り上げるのはガイドブックの定番ではないカオソーイ食堂。中には『カオソーイクンヤイ』のように旧市街地にあるため外国人旅行者が多い店舗もありますが、基本的にはタイ人で賑わう店をチョイスしています。
営業時間などの基本情報はお店の方から直接伺ったものだけを掲載。
チェンマイのカオソーイを、胃袋がパンパンになるまで楽しんでください!
薫り高い濃厚スープが病みつきに「カオソーイ メーマニー」
1店舗目に、チェンマイ旧市街地からけっこう離れている『カオソーイメーマニー』を選んだのは、10店舗以上を巡った中でもっともお気に入りのカオソーイだったという、至極個人的な理由によるものです。
地図をご覧いただきたいのですが、徒歩で行けるような距離じゃない。私はレンタルバイクを走らせましたが、それでも15分ほどを要しました。
幹線道路から細い道に入って数十メートル。民家と見紛うほど周囲に馴染んでいるため、見過ごさないよう注意が必要です。
7、8席しかない店内は、タイ人客でほぼ満席。外国人旅行者で、ここまでカオソーイを求めてくる者は少ないのでしょう。
と思ったけれど、もらったメニューを見ると英語も併記されている。メニューはカオソーイだけしかない本当の専門店で、選べるのは麺とトッピング具材です。
麺は自家製の小麦麺、センヤイ(太麺)、センレック(中麺)、揚げ麺、春雨、ママー麺。トッピングは鶏肉、牛肉、豚肉、魚のすり身(ルークチンプラー)。
『カオソーイ メーマニー』のカオソーイは、数種のスパイスを混ぜ合わせ、濃厚に仕上げている点が特徴。濃厚なのにくどくなく、深みがあり薫り高いスープは「炭火で煮込んでいる」ことがポイントなんだとか。
私がおすすめしたいのは牛肉。牛すじ肉を自家製スープに入れてじっくり煮込んでいるため、肉はほろほろ。
これだけ完成度が高いカオソーイなら、たとえ中心部から離れていても来店したくなるのも頷けます。
「うちは仏暦2527年(西暦1984年)にオープンしたの。日本から来たの?この前、日本のフリーペーパーに掲載されたのよ。見てよ」
店主の女性は私が日本人だと知り、掲載されたばかりのチェンマイの日本語フリーペーパーを見せてくれました。
さてチェンマイの名店カオソーイを巡る本企画、私がイチオシする『カオソーイ メーマニー』からスタートです!
【SHOP DATA】
「カオソーイ メーマニー(ข้าวซอยแม่มณี)」
TEL:081-961-2235
OPEN:09:00-15:30(仏教関係の祝日は休み)
PRICE:カオソーイ40B〜
甘みと辛みが際立つこってりスープ「カオソーイ ルンプラキット」
2店舗目の『カオソーイ ルンプラキット』は、1店舗目に比べるとぐっと中心部から近くなります。
旧市街地のチェンマイ門からスリヤウォン通り(Suriyawong)を1kmほど南下した左手。目立つ看板は掲げられていませんが、店前に席待ちの客がわらわらっといれば間違いなくその店!
創業して40年以上という『カオソーイ ルンプラキット』はかなりの人気店で、閉店時間前にスープなどが品切れになることもあるそうです。
チェンマイのカオソーイ界では重鎮として崇められる名店だけあり、海外YouTuberのマーク・ウィンズ(Mark Wiens)氏も来店したよう。
カオソーイを彩る鶏肉や牛肉は、3時間ほどカレースープで煮込み、スパイスの薫りや味を染み込ませ、柔らかくほわほわに仕上げられています。
特徴的な濃厚スープはたくさんのスパイスとココナッツミルクを使用し、甘さと辛さが際立つ独創的な味わいに。
地元の方々も惹きつける絶品カオソーイです。
【SHOP DATA】
「カオソーイ ルンプラキット(ข้าวซอยลุงประกิจกาดก้อม」
TEL:083-209-9441
OPEN:10:00-17:00(基本無休)
PRICE:カオソーイガイ35B、カオソーイヌア40B
行列覚悟の超人気店「カオソーイ クンヤイ」
約1年ほど前。バイクでチェンマイ旧市街の周りを何気に走らせていた時に、とある寺院の奥から道路まで続く行列に出会い、あまりの列の長さに驚愕してバイクごとひっくり返りそうになりました。
てっきりお寺に並んでいるのかと思いきやバイクを停めて覗いてみると、寺院の敷地(?)の片隅で営業しているカオソーイ店。
ここが『カオソーイ クンヤイ』でした。
ちょうど昼どきだったとはいえ、これほど行列ができるカオソーイは食べてみたいが、並びたくはない!
己の中で葛藤した結果、この日は並ぶことなく撤退。そして今回、開店したばかりの午前10時を狙い来店を果たしました。
『カオソーイ クンヤイ』は、本企画で取り上げるカオソーイ店の中では旧市街地にもっとも近いこともあり至便な立地。行列を構成する客層の多くは旅行者が占めています。
甘さを抑えて、スパイシーな薫りを効かせたスープは濃厚仕立て。平麺にしっかりと絡むスープです。
店名のクンヤイは「お婆ちゃん」という意味。創業者のクンヤイが編み出した秘伝のレシピは、濃厚とはいえ脂っこさがないのが特筆したい点。日によっては昼過ぎにスープがなくなることもあるといいます。
旧市街地から徒歩で行ける距離だけに『カオソーイ クンヤイ』は外さずに!
【SHOP DATA】
「カオソーイ クンヤイ(ร้านข้าวซอยคุณยาย)」
TEL:089-998-2578
OPEN:10:00-14:00(日曜日休み)
PRICE:カオソーイヌア50B
自家製麺で勝負「カオソーイ ノンホー」
日本語で検索しても一切ブログ記事などが出てこない『カオソーイ ノンホー』。それもそのはず、立地的に旅行者が気軽に行けるような場所でもないうえ、店内に吊るされているメニューを見ても英語表記はなく、生粋のローカル店です。
日本人を含め外国人がノーマークのこちら。タイ人からの評判は高く、レビューには高評価のコメントが並んでいます。
トッピングに鶏肉、牛肉、豚肉、豚バラ、ルークチンムー(豚の団子)などがある中、私が選んだのはルークチンムー。
『カオソーイ ノンホー』で特筆しておきたいのは、自家製という小麦麺。独特の食感が楽しめる麺は、他店と一線を画しています。
スープはスパイスがおさえられ優しいテイスト。強烈なインパクトはないものの、何度食べても食べ飽きない風味。
自家製麺にこだわり続けたカオソーイは、タイ人の心と胃袋をしっかり掴み、創業して40年近く営み続けてきました。
【SHOP DATA】
「カオソーイ ノンホー(ข้าวซอยหนองฮ่อ)」
TEL:081-530-4874
OPEN:08:00-16:00(基本無休)
PRICE:カオソーイ ルークチンムー 30B-40B
麺にしっかり絡むスープ「カオソーイ ウアラーイ」
銀細工の店が並ぶウアラーイ通り。旧市街地の南側、チェンマイ門から伸びている通りの1つです。
私がこのウアラーイ通りの存在を知ったのは、銀細工欲しさに調べたわけではなく、地元の方に支持されているカオソーイ店があるという情報を入手したことがきっかけでした。
そのカオソーイ店とは、通り名を冠した『カオソーイ ウアラーイ』。
瓦屋根が設けられた店舗には、赤い垂れ幕が掲げられ「Khao Soy」と表記されているので、見つけ易い。
旧市街地から近く、チェンマイ門から徒歩10分ほどの距離に立地しています。
ここのカオソーイはまず器が特徴的で、他ではあまり見ないステンレス製。とろりとした濃厚スープ、量が少ないので、麺にしっかり絡めていただくのがおすすめの食し方です。
私はカオソーイガイ(鶏肉のカオソーイ)を注文しましたが、どうやら評判なのは牛肉のカオソーイだったよう。
煮込まれた牛肉は口の中でとろける柔らかさなんだとか。
食事を終え、他のタイ人客を観察してみると、ほとんどの方はクイッティアオを注文しておられる。このお店を日常的に利用されている地元の方には、カオソーイではなくクイッティアオが人気のようです。
胃袋に余裕があれば食べてみたかったものの、カオソーイをしこたま食べ巡っていたおかげで、そのような余裕はございませんでした…。
【SHOP DATA】
「カオソーイ ウアラーイ/ข้าวซอยวัวลาย」
TEL:無し
OPEN:08:00-15:00(日曜日休み)
PRICE:カオソーイガイ40B
ムスリム系 自家製麺を使った老舗「カオソーイ パーパイ」
創業して40年以上という『カオソーイ パーパイ』はムスリム系カオソーイ店。豚肉を使ったカオソーイは当然なく、牛肉と鶏肉のみ。麺は自家製で、スープに使うココナッツミルクも毎日作っているといいます。
ココナッツミルクは少なめで濃厚さはなく、あっさりとしたコクのあるスープ。自家製麺を使いながら35バーツという低価格で、コストパフォーマンスの高さを誇っています。
『カオソーイ パーパイ』ではカオソーイだけではなく、ぜひクイッティアオゲーンも食していただきたい。さすがムスリム系の店だけにこれも絶品!
もう一品推したいのはカノムジープ(タイ風しゅうまい)。通常、豚挽肉を包んでいますが、ムスリムなので鶏ひき肉を使っています。「カノムジープガイサップ」はかなりレアですよ。
【SHOP DATA】
「カオソーイ パーパイ(ข้าวซอยร้านป้าไพ)」
TEL:053-260-929
OPEN:09:00-15:00(無休)
PRICE:カオソーイガイ35B、クイッティアオゲーンヌア35B
創業年数なんと100年!「カオソーイ スターシニー3」
本企画で取り上げる9店舗の中で、創業年数がもっとも古い『カオソーイ スターシニー3』。100年ほどが経っているといい、現オーダーは三代目になるそうです。
麺は平麺を使い、スープはさらっとしていますがコクが有り、後からスパイスがじわじわと迫ってくる辛さ。
スープの作り方にはこだわりがあり、一般的にスープはココナッツミルクを入れて煮込んでいますが、『カオソーイ スターシニー3』では注文時にスープと共にココナッツミルクを入れるのだとか。
店主曰く、ココナッツミルクを入れて長時間煮込むと、スープが脂っこくなってしまうそう。
また麺へのこだわりも強く、チェンマイのカオソーイ店で初めて全粒粉の小麦を使用し始めたと言います。
ムスリム系の店舗なのでカオソーイの他にマッサマンカレーやカオモッガイ、聞きなれないカオモクペー (ข้าวหมกแพะ)やカオナーヌア(ข้าวหน้าเนื้อ)、サラダケーク(สลัดแขก)、スープハンウア(ซุปหางวัว)などがあります。
【SHOP DATA】
「カオソーイ スターシニー3/(ข้าวซอยสุธาสินี 3)」
TEL:082-392-0142
OPEN:08:00-15:00(金曜日休み)
PRICE:カオソーイヌア50B、マッサマンヌア60B
雲南ムスリム市場の近く「カオソーイ フンファー」
金曜日の朝だけ開催されるマーケット『ガードバーンホー(กาดบ้านฮ่อ)』。通称「雲南ムスリム市場」と呼ばれているように、そこではムスリムの人たちや雲南出身の華僑たちが混ざって敷地内で衣服を売ったり、飲食店を開いたりしています。
雲南出身の華僑とムスリム。
冒頭で述べたように、チェンマイのムスリムは中国・雲南省の回族が多く、ムスリムと雲南省出身の華僑は密接な関係があるのでしょう。
この市場『ガードバーンホー』近くでは、ムスリム系のカオソーイ店が2店舗営業しています。その1店舗が『カオソーイ フンファー』。フンファーとは花の名前ブーゲンビリアを意味するタイ語で、店頭で色鮮やかな花弁で彩っているのは、店名となったブーゲンビリアです。
「お店を始めてからは40年ぐらいかしら」
私がオーダーしたカオソーイの麺を茹でながら、質問に答えてくれたのは女性店主。麺は自家製麺で、つるんとした食感が楽しめます。
オーダー時、カオソーイヌアを告げると彼女から
「ナムコム?ナムサイ?」
という質問が。ナムコムやナムサイとは、一般的にトムヤムスープの種類を表すタイ語で、「ナムコム」はペーストやココナッツミルクを使った一般的な濃いトムヤム。「ナムサイ」はペースト類を使わない透明色スープのトムヤムです。店主が言う「カオソーイ ナムコム」は一般的なカオソーイだろうけど、「カオソーイ ナムサイ」は聞いたことがない。
この店へ来るまで数杯のカオソーイを平らげ、空腹とは程遠い状態ではありましたが、どちらも気になったので2杯をオーダー。
ナムコムはココナッツミルクが多めのスープで、スパイスは辛すぎずほどよい感じ。
ナムサイのスープはスパイスやココナッツミルクは使われておらず、カオソーイというネーミングに違和感があるほど。
カオソーイの麺とクイッティアオのスープを使ったものをカオソーイナムサイというのかもしれません。
『カオソーイ フンファー』ムスリムのカオソーイ食堂なので、ビリヤニやマトンなどのメニューもあり。
【SHOP DATA】
「カオソーイ フンファー(ข้าวซอยเฟื่องฟ้า)」
TEL:081-595-7030
OPEN:08:00-17:00(基本無休)
PRICE:カオソーイ40B
ムスリム系カオソーイ最強か!?「カオソーイイスラム」
本企画の最後に取り上げるのは『カオソーイイスラム』。店名通り、ムスリム系のカオソーイ専門店です。先に紹介した『カオソーイ フンファー』のすぐ近くに立地し、創業したのは同じごろで40年以上だ経っているそうです。
白っぽい平麺は自家製麺。スープは濃すぎず、スパイスはやや抑えめですが深い味わい。本企画で取り上げた店舗の中では、1店舗目の『カオソーイ メーマニー』と甲乙がつけ難く、私の中では1、2位を争う一杯です!
旨いのはカオソーイだけではなく、一工夫された自家製パッカドーンもいぶし銀。パッカドーンとは付け合わせで出てくる漬物で、チリを和えて辛味を加えており、カオソーイに入れると味わいの表情が変わります。
余裕があるなら他メニューも試していただきたいところ。私が推すのはパパシェーปาปาแซ。麺はセンカオグロン(ブラウンライスを使った麺)を使用し、スープはクイッティアオゲーンに近く、完成度が非常に高い。
私がパパシェーで舌鼓を打っている最中、隣のテーブルに座っていたおっちゃんはカオソーイを食べ終え、追加注文を店員に告げました。
「カオソーイ ヘン(汁なしカオソーイ)」
そんなものメニューに載ってただろうか…。私が店員からメニューをもらい1ページ1ページめくってみたけれど、「カオソーイヘン」なんてどこにも書いちゃいない。
そう、このカオソーイヘンは常連だけがオーダーできる特別メニューだったんです!
これはいいタイミングだわと、私も追加でカオソーイヘンをオーダー。この店ですでに2杯を食べているうえ、来店前には他店で嫌ほどカオソーイを食べていましたが、裏メニューの存在を知ってしまったからには看過できない。
汁なしカオソーイとはいえまったく、少量のスープが入っているので一見すると普通のカオソーイ。ところが味わいは別物。揚げ麺の下には黒いソースが垣間見えますがこれはシーユーダムです。味わいが変われば案外食べられるもので、3杯目となるカオソーイ ヘンもさらりと完食いたしました。
『カオソーイ ムスリム』には他にカオモックヌア(ข้าวหมกเนื้อ)、カオモックペー(ข้าวหมกแพะ)などあり、お店が推すのはサラダケーク(สลัดแขก)です。
さすがに私は食べられませんでしたが、この記事をご覧の方はカオソーイ&パパシェーを食べた上でサラダケーク!
【SHOP DATA】
「カオソーイイスラム(ข้าวซอยอิสลาม)」
TEL:082-392-0142
OPEN:08:00-17:00(基本無休)
PRICE:カオソーイ50B
奥が深いカオソーイの世界
本記事で紹介したカオソーイ店は9店舗ですが、私が巡ったカオソーイ店は10店舗超。これだけのカオソーイを3日間で食べ歩いてみると、私が思っていた以上に店によっての味の”表情”が異なっていることが見え、奥深さを感じることができました。自家製麺から始まり、スパイスの種類、牛肉や鶏肉の調理法など。創業30年、40年と続けてきた彼らが抱くカオソーイへの情熱と想いは、ちいさな丼一杯に込められています。
カオソーイはバンコクでも食べられますが、やはり本場は違う!
チェンマイで10店舗以上を食べ歩いてみた結果、そのことが身にしみて理解できました。
本記事が、チェンマイでの食べ歩きに少しでも役立てれば執筆者として本望です。
来店したカオソーイ店の感想などあれば、コメント欄に残してください。