和食で「冷やし茶漬け」なるものがあるらしいですが、熱々茶漬けが好きな私は、一度も食したことがありません。
タイ料理にも冷やし茶漬けと同じように、冷水にご飯を浸した「カオチェー(ข้าวแช่ )」という料理があります。
硬めに炊いたご飯のぬめりを取り、ジャスミンなどの花で香りづけした水に浸したもので、ソンクラーン時期からの暑季、食欲減退時の料理としてラマ5世が考案した宮廷料理と言われています。
調理にはかなり手間がかかるらしく、タイ料理店で見かけることはほとんどありませんが、バンコクなら以前紹介したサミティベート病院前の『Lai Rot』で出会えます。
このカオチェー、ペッブリー県が発祥だという説もあり、調べてみるとカオチェー専門店が数軒点在しているよう。
先日ペッブリー県を訪れた私は、”神秘の洞窟”タムカオルアンを見学した後、川沿いで営業するカオチェー専門店へと赴きました。
”神秘の洞窟”タムカオルアンとは
カオチェー専門店の前にぜひとも紹介しておきたいのがタムカオルアン(ถ้ำเขาหลวง)。
地下27メートルの洞窟内には仏像や涅槃像が祀られ、これらはラマ5世の命によってラマ3世とラマ4世を称えるために作られたと言われています。
地上から降り注ぐ太陽光は神々しさに満ち、洞窟内に荘厳な力を与えているよう。
神秘的な光景が広がる中、写真を撮影する人々だけではなく、仏像に深々と祈りを捧げるタイ人の姿があったのも印象的でした。
カオチェー専門店『カオチェーメーニッド』は、タムカオルアンからほど近く、車だと10分もかからない距離に立地しています。
母の代から受け継ぎ創業60年以上
ペッブリー川に沿うように立地する『カオチェーメーニッド』。
ほぼ屋台に近い店舗は藁葺き屋根に手書きの看板と、手作り感たっぷりの素朴な造りです。
お店を営んでいるのは男性店主1人だけのよう。「母親が始めたお店で60年以上はやってるよ」
お母さんは数年前に他界され、平日は彼1人でお店を切り盛りしているそうです。
カオチェーはご飯を氷で冷やした水で浸し、サラサラといただくまさに冷製茶漬け。
付け合わせは佃煮のようなおかずが数種、別皿で提供されます。
冷たい水は花で香り付けされていて、タイ料理では珍しく清涼感に満ちたカオチェー。
あくまでも食欲減退時のために考案された料理なので、空腹絶頂の胃袋ならば物足りないこと請け合いです。
私は食欲が減退しているどころか、空腹かつ胃袋は絶好調だったので食べ足りない…。
店主に他メニューがないのか聞いてみました。
「土曜日と日曜日だけはカオソーイがあるんだけど、平日はカオチェーだけなんだ」
客が多いのはやはり土日のようで、週末はパートタイムで臨時従業員に来てもらい手伝ってもらっていると言います。
創業60年のカオチェー専門店だけに、取材を受けることもしばしばなのだとか。
「ついこの前、ニュージーランドからテレビ取材が来たよ」
店主はそう話し、スマホで撮った写真を見せてくれました。
「有名なんだよ」と教えてくれましたが、ニュージーランドの芸能人は誰1人として存じ上げません…。
どなたか、お名前を知っておられますか?
【SHOP DATA】
「カオチェーメーニッド(ข้าวแช่ แม่นิด)」
TEL:092-412-8878
OPEN:3:00-15:00(水曜日休み)
ADDRESS:3176, Tambon Khlong Kra Saeng, Amphoe Mueang Phetchaburi, Chang Wat Phetchaburi 76000
PRICE:カオチェー25B