夜になるとスクンビット通りの奇数側に並ぶ観光者向けの露店に、去る10月撤去命令が出され、衣料品、アクセサリー、大人のおもちゃ、ED薬を販売していた店々は姿を消しました。
バンコク各地で屋台や露店への撤退命令が相次ぎ、街並みが刻一刻と変化しています。
私のような在住者は露店で物を買うことなどほとんどないため、個人的には感傷的な想いはあまりないのですが、撤去されたことによりごちゃごちゃ感がなくなり、幾度かバンコクを訪れている旅行者にとっては一抹の寂しさがあるでしょう。
ただ、屋台がなくなるのは私もさみしい。
タイ人のみなさんはどう思ってるんでしょうかね。
アソーク近辺で屋台といえば、イサーン屋台やらカオマンガイ屋が集まるソイ19が、アソーク駅からもっとも近い屋台群でしょう。
他にも点在はしていますが、アソーク界わいだと屋台エリアっていうのは絶滅危惧種に近い存在かもしれません。
屋台エリアが次々と消え去っていくなか、タイ飯が楽しめる場所といえばフードコート。
ターミナル21やRobinsonの中にもフードコートはありますが、ローカル感ってのはほとんどない。
アソーク近辺で、もっとローカル感が欲しい!
という方がどれほどいるのか不明ですが、アソーク駅から徒歩7〜8分にある、ローカルフードコートへ行ってまいりました。
オフィスワーカーたちが集うフードコート
アソーク交差点を南へ下ること約500メートル。
ゆっくり歩けば10分ほどでしょうか。
ベンジャキティ公園の向かい側にあたるこの辺りは、オフィスビルが数棟建ち、ビジネスマンやOLたちで賑わうエリアです。
彼ら彼女たちがランチタイムになると集まるフードコート。
表の歩道ではタイのお菓子を売る屋台が並び、屋内ではクイッティアオやカオカームー、ぶっかけ飯などの飯屋がタイ飯を薫りをふんだんに漂わせ、胃袋を刺激しているんです。
まずは行列ができるクイッティアオ屋へ
数十軒が並ぶフードコートで、私が店を選ぶ基準は、並んでいるタイ人の数。
一通り眺めると、女性1人で営んでいるクイッティアオ屋がもっとも多い。
私も列に加わり、彼らが何を注文しているのかをチェック、どうやらイエンタフォーが最多オーダー数を誇っているようです。
私はあまりイエンタフォーって食べないんですが、ここのイエンタフォーは独特の酸味が少なく、深い!
紅腐乳さん、ありがとう!!
※紅腐乳(ホンフールー)とは、イエンタフォーに使われているピンク色の、豆腐を発酵させた調味料です。
2軒目は野菜が並ぶぶっかけ飯屋
せっかくフードコートに来たんだから、1品だけ食べてサヨウナラってのも寂しい。
私が次に興味をそそられたのは、クイッティアオ屋の隣りにあるぶっかけ飯屋でした。
調理されたおかずだけではなく、茹で野菜や生野菜、キノコ類が20品ほど並べられている。
これをご飯に乗っけて食べるのなら、野菜不足の中年独身男性にとって、こんなありがたいことがありますか!
ビタミンCやらDやら、体内にアルファベットを摂取すべく、ニンジン、スイートコーン、苦瓜、蓮の茎(?)、ブロッコリー、キャベツなどを盛っていただきました。
「3種のタレから選んでね」
店主の女性は流暢な英語で私に教えてくれます。
ローカルなフードコートで英語で話しかけられると驚くなぁ。
4種のタレの一つは、小エビを発酵させた調味料のガピ。
知っているのはこれだけで、他3種のタレは見たことすらない。
「あまり辛くないもの」を所望すると、これを薦めてくれました。
んん?
使われている材料はツナ、オニオン、ニンニクまで分かりましたが、ベースに使われているものまでは分からない。
辛くなく野菜に合い、タレをお代わりしたくなるほど食が進む。
これ、ご存知の方いますか?
「店名? お店の名前はないわよ(笑)」
食後、しばらく話しているとようやくタイ語で喋ってくれるようになったオーナー女性。
ここでお店を15年ほどやっているそうです。
「ドイツの映画撮影で使われたことがあったし、タイのテレビ局にも何度か取材されたこともあるわよ」
数ある飯屋の中でも、ここは注目されている店舗なのでしょう。
こういった、茹で野菜を並べているぶっかけ飯屋は確かに珍しい。
別れ際、写真撮影も快諾してくれました。
ぜひ我が家の近くに支店を作って、私にめりめり野菜を採らせてやってください!
【SHOP DATA】
「名も無きぶっかけ飯屋」
TEL:なし
OPEN:8:00-15:30