バンコクの北側、戦勝記念塔から車で5〜10分ほどの場所にあるナコンチャイシー通り。
観光地としては地味だけど、この通り周辺にはクイッティアオを出す名店が密集している、いわば“知る人ぞ知る麺の聖地”のようなエリアです。
これまでにも何軒か取材して当ブログでも紹介してきましたが、まだまだ行ききれていないお店が山ほどある。
そんな中で今回訪れたのが、創業70年を超える老舗牛肉クイッティアオの名店「クイッティアオヌア ラチャワット ビッグス(ก๋วยเตี๋ยวเนื้อราชวัตรบิ๊กสุ)」。
地元民からの信頼も厚く、平日でも昼時はひっきりなしに客が訪れる人気店です。
到着してすぐに感じる“只者ではない感
店に到着したのは昼前。
それでも店内のテーブルはすでに埋まり、歩道に並べられた仮設テーブルまで満席状態。
テーブルの隙間をぬってスタッフが次々と注文を取りに走り回る、“活気のかたまり”のような店先です。


このお店、「クイッティアオヌア ラチャワット ビッグス」は1955年創業。
牛肉を煮込んだクイッティアオの元祖的存在とも言われていて、代々受け継がれた味を目当てに、地元客が日常的に通っています。

今回いただいたのは、スープあり・麺ありの王道スタイル。
センレック(中細麺)を使った牛煮込みクイッティアオです。
いざ、牛の旨みを味わう一杯へ
中細の米麺が、澄んだ牛骨スープの中にたっぷりと広がっています。
まずはスープをひと口。香ばしさと甘みがバランス良く調和していて、驚くほど軽やかでありながら、しっかりとしたコクを感じます。


雑味のない澄んだ味わいで、牛の旨みだけを丁寧に抽出したような、研ぎ澄まされた一杯!
主役の牛肉は、長時間煮込まれているのが見てとれる柔らかさで、箸で持ち上げると繊維がほろほろと崩れます。
口に運べば、まさにとろけるように消えていきます。

牛すじはぷるんとした弾力があり、脂の甘みがじんわりと広がります。
一方で、ハチノスやセンマイ、腸などのホルモン系は、独特の香りと歯ごたえで、食感のアクセントになっています。
それぞれの部位が持つ個性が、ひとつの丼の中で調和し、まるで“食べる牛スープ”のような立体感を生み出していました
麺の茹で加減も絶妙で、やや硬めに仕上げられたセンレックは最後までダレることなく、スープとの相性も抜群です。
一口ごとに、「これは70年という歴史の重みだ」と感じさせてくれる、そんな一杯でした。
メニューと価格
提供されているメニューは非常にシンプルですが、選べるトッピングの種類が豊富で、自分好みにカスタマイズできるのが魅力です。
麺はセンレック(中細麺)、センミー(細麺)、バミー(中華麺)、もしくはガオラオ(麺なしスープ)から選べます。

トッピングは以下のように分類されています:
- 牛肉(เนื้อสด)
- 牛すじ(เอ็นตุ๋น)
- 牛モツ(เครื่องใน)
- センマイ(ผ้าขี้ริ้ว)
- ハチノス(ไส้)
- 牛団子(ลูกชิ้น)
- 牛舌、牛腸、その他の希少部位(部位により異なる)
価格は選ぶトッピングの数によって変動します。
- トッピング1〜4種:100バーツ
- トッピング5〜6種:150バーツ
- トッピング7種すべて:200バーツ
- お肉の追加:+50バーツ
全種盛りにすると200バーツと、ローカルの屋台価格にしてはやや高めに感じるかもしれませんが、
そのボリュームとクオリティを考えると、十分納得の価格です。
店主の姿に、70年の歴史を見る
取材の最後に、麺を茹でていた店主に写真を撮らせていただきました。
写真からも伝わるように、年季の入った所作と穏やかな笑顔がとても印象的で、まさにこの店の“顔”と呼ぶにふさわしい存在です。

取材中も終始協力的に対応してくださり、牛肉の部位やおすすめの食べ方についても丁寧に説明していただきました。
こうして、味だけでなく人の温かさにも触れられるのが、ローカル食堂を巡る楽しさのひとつです。
店名 | クイッティアオヌア ラチャワット ビッグス(ก๋วยเตี๋ยวเนื้อราชวัตรบิ๊กสุ) |
営業時間 | 07:00-16:30 |
定休日 | 基本無休 |
Googleマップ | https://maps.app.goo.gl/AoopgnpJSP7pRg9y7 |