タイの屋台の魅力はなんだと訊かれましたら、ひとつに「店主が調理している」ことを挙げております。
例外もありますが、小さな屋台ですとたいがい店主が調理していることがほとんどです。
つまり、店主自身が持つこだわりを直接料理に詰め込んでいるわけで、レストランなどスタッフが調理している店とはその点が大きく異なります。
もうひとつは、どういった店主が営んでいるのかが見えることです。
寡黙で職人のような人が調理しているのと、ラッパーのようなド派手な店主が調理しているのとでは、同じ料理でも味わいに違いが出てくると思います。
ラッパーのような調理人だと美味しそうではないとは言わないまでも、職人然とした人が調理していると期待感が湧いてくるのは僕だけではないでしょう。
もっといえば、「この方が調理しているからこの店が好きだ」という屋台も僕にはあります。
そのひとつとして紹介したいのが、ヤワラートにあるクイジャップ屋台『クイジャップヒアトゥ プレンナーム』です。
寡黙に調理する「クイジャップヒアトゥ プレンナーム」の店主
MRTワットモンゴン駅の1番出口を出ると、裏手にローカルの市場が広がっているのはあまり知られていません。
路地をずんずん奥へと歩いていくと、ヤワラートのギラギラとして喧騒が嘘のように薄暗い市場。
『クイジャップヒアトゥ プレンナーム』はこの闇市のような市場で営業しています。
営業時間は朝5時から9時までの4時間だけで、そのうえ営業しているのは木曜日から日曜日までと週4日。
早起きしなければならないうえ営業日が少ないので、来店へのハードルはぐぐっと高い屋台です。
ご夫婦で営んでおりますが調理しているのはいつも店主の男性で、とにかく寡黙。
その姿はまさに職人。
麺を茹で、スープを丼に流し込む一連の手さばきは、見ているだけで「ぜったい旨いやん!」と思わせてくれます。
市場内に設けられたテーブル席は3つ。
そのひとつに腰をかけた僕は、全部乗せのクイジャップをオーダーいたしました。
クイジャップ(ก๋วยจั๊บ)を知らない、という方に向け簡単に説明いたしますと、タイラーメンの一種で三角形の平な麺をくるっと巻いた、マカロニのような麺を使った麺料理で、スープはクリアなものと中華ハーブなどを使った茶色いものがあります。
創業100年以上?のクイジャップ
『クイジャップヒアトゥ プレンナーム』のスープはクリアスープ。
麺とともに潜んでいるのはムーグローブ(カリカリ豚)や、もつ肉など。
胡椒が効いたスープはピリッとしていて奥深く、一口で惚れました。
ヤワラートにはガイドブックに載るような有名なクイジャップの店々が点在していますが、こちらのクイジャップも負けていません。
営業時間が短いので、ガイドブックに載ることはないかもしれないですが…。
食べ終わった僕は、黙々と麺を湯がく店主に話しかけてみました。
「お店は何年ぐらいやってるんですか?」
「う〜ん、長いね」
僕の目を見ることなくボソッと一言。
Google Mapで店名を改めて見てみると「100年(100ปี)」とあったので、きっとこれが創業年数なのでしょう。
何代にも渡り受け継がれてきたクイジャップ。
隠れた名店の一杯、早起きして食べてみてください。
店名 | クイジャップヒアトゥ プレンナーム/ก๋วยจั๊บเฮียตุ๊ แปลงนาม |
営業時間 | 05:00-09:00 |
定休日 | 月・火・水曜日 |
Google Map | https://goo.gl/maps/pQVqF6mVwBLUiitW7 |
備考 | 営業時間と定休日は取材時に確認したものです |