これまで本ブログでは、ローカルな食堂を中心に紹介してきましたが、最近は“タイを代表する名店”にも目を向けて取材しています。
前回取り上げた『The Local(ザ・ローカル)』に続き、今回ご紹介するのは、バンコクの名門タイレストラン『タリンプリン(ตะลิงปลิง )』です。

創業は1992年。
オーナーのティップマニー・ジャンヤウォン氏は、イギリスでホテル経営と料理を学び、帰国後にヨーロッパ料理の店を開いた経験を持つ人物です。
その後、「家族の味をもう一度伝えたい」と、祖父母の代から受け継いだレシピを基に本格的なタイ料理レストランをオープン。
以来30年以上にわたり、地元の人々に愛され続ける存在となっています。
店名の“タリンプリン”は、酸味のある果物・タマリンドプラムに由来。
健康の象徴ともいえるこの果実のように、「自然と寄り添い、体に優しい料理を届けたい」という思いが込められています。
現在はスクンビット・ソイ34の一軒家レストランをはじめ、シーロム、サイアム・パラゴンなどに6店舗を展開しています。
一皿ずつ味わう【タリンプリン】の名物料理たち
メニューには家庭的な定番から贅沢な逸品まで、幅広く並んでいます。
どれも“タイのやさしさ”を感じる味わいで、食べ進めるほどに心がほどけていくよう。
今回はその中から、特に印象に残った料理をご紹介します。
(※以下の写真はすべてスクンビット・ソイ34店で撮影)
まず最初にいただいたのは「ムーサテ ガティソット(หมูสะเต๊ะกะทิสด)」。

スパイスと生ココナッツミルクに漬け込んだ豚ロースを炭火で香ばしく焼き上げ、濃厚なピーナッツソースでいただく定番の一皿。
ココナッツの香りがふわりと広がり、どこか懐かしい甘みが口いっぱいに広がります。
続いては人気の「ゲーン・マッサマン・サポークガイ(แกงมัสมั่นสะโพกไก่)」。

焙煎スパイスとハーブを使った自家製ペーストが主役のマッサマンカレーで、鶏もも肉をココナッツクリームとともにじっくり煮込んでいます。
ソムサー(タイの柑橘)やパイナップルが加わることで味に奥行きが生まれ、濃厚ながら後味は軽やか。
ロティとの相性も抜群でした。
「クン・ソース・マカーム(กุ้งซอสมะขาม)」は、大きな川エビを香ばしく揚げ、甘酸っぱいタマリンドソースで仕上げた一品。
ナッツの食感がアクセントとなり、タイらしい味の重なりを楽しめます。

そして「ヤムウンセン・スートボーラーン(ยำวุ้นเส้นสูตรโบราณ)」は、昔ながらの春雨サラダ。
揚げエシャロットとピーナッツの香ばしさが絶妙で、軽やかな酸味が全体をまとめています。

さらに定番の「センチャン・パッタイ・クンソット(เส้นจันทร์ผัดไทยกุ้งสด)」も秀逸。
チャンタブリー産の麺はもちもちで、干しエビと大根の漬物が織りなす香ばしさが心地いい。
付け合わせのバナナの花を加えれば、一気に“本場の味”へ。

最後にいただいた「カオホームマリ ワギュー ガパオ(ข้าวหอมมะลิ เนื้อวากิวผัดกะเพรา)」は、香り高い和牛とホーリーバジルをプリッキーヌで炒めた贅沢なガパオライス。

上にのったふわふわの目玉焼きが全体を包み込み、ピリッと辛い中にも優しさが残る。
まさに『タリンプリン』らしい一皿でした。
心落ち着く邸宅レストランの空間
スクンビット・ソイ34の店舗は、築60年以上の邸宅を改装した重厚感ある造り。
木の温もりを感じるインテリアに柔らかな照明が映え、まるでタイの伝統家屋に招かれたような居心地の良さがあります。

1階はメインホールやガラスルーム、屋外のガーデン席があり、2階には大小4つの個室を完備。
個室はつなげて利用することもでき、最大70名までの貸切にも対応可能です。



ローカルな食堂の温かさと、名店ならではの品格。
そのどちらも味わいたい方には、ぜひ一度訪れてほしい老舗レストランです。

店名 | Taling Pling(タリンプリン)スクンビット・ソイ34店 |
営業時間 | 11:00-22:00 |
定休日 | 無し |
Googleマップ | https://maps.app.goo.gl/GASvWKVcY5Wyf1ix9 |