およそ2年半ぶりのオンヌットネタです
「激旨!タイ食堂」で、オンヌットのローカル食堂が初めて取り上げられたのが、2015年の12月。
「今後はオンヌット方面のお店を取り上げたい」という隊長の所信表明はどこへやら、それからひっそりと放置されたまま約2年半が経過したが、コンテンツが増える気配は一向にない。
そもそもオンヌットは、長い間、「日本人にはなじみのないエリア」という立ち位置だった。
バンコク在住の日本人の方ならよくお分かりだろう。
日本語のフリーペーパーの類に載っている地図の「スクンビットエリア」は、その多くがエカマイまで。プラカノンまで載っているものもあるが、オンヌットまでは延びていない。
同じスクンビット通りに面していながら、「オンヌットはスクンビットエリアじゃないでしょ!」とハブられるさまは、首都圏なのになぜかいつも一段下に見られる埼玉県によく似ている。プラカノンとオンヌットを分断する運河は、さしずめ、緑の河川敷が広がる荒川といったところだろうか――。
埼玉出身のワタシに、郷愁に近い愛着を抱かせるオンヌットだが、この数年の発展は目覚ましい。
駅近にいくつものタワマンが建設されたことによって、外国人人口、特に日本人が圧倒的に増えた。その需要に応えるように飲食店が増え、駅前にはシネコンまでできてしまった。
だが、それよりもはるか昔、15年ほど前からオンヌットを知るワタシにとって、「情報が掲載されていない=旨い店がない」と思われるのはちと悔しい。オンヌットには、日本語メディアで取り上げられていない名店がまだまだある。
ということで、今回は、ご近所さんに愛されてやまないある食堂を紹介したい。
オンヌットの路地にある中華系タイ料理
場所はオンヌット・ソイ44。オンヌットにはウドムスックまで抜けられる路地がいくつかあるのだが、このソイ44はそのひとつ。『ジェーホン カオトムホゥアプラー』は800メートルほど入った左側にある。右側はイサーン料理の『ティーラープスーン(ที่ลาบสูง)』だ。
ぱっと見はエアコンもない、何の変哲もない食堂といった風情。日曜日の夜は、ご近所さんが三世代の家族連れで訪れて満席になっているような、そんな食堂だ。料理は中華系タイ料理で、魚を中心とした海鮮メニューがウリなのだが、素材の良さが感じられ、かつ、「どれを食べてもハズレがない」のがうれしいところ。
まずは、名物の『トムヤム ホゥアプラー ガオ(ハタの頭のトムヤム)』から。注文のときに、「頭だけじゃなくて、身も入れる?」と聞かれたので、今回は身入りで。スープはナムサイ(クリアスープ)を選んでみた。魚の身の弾力がしっかり感じられて、かつ酸っぱ辛い正統派の一品。
次は『タオフー ボラーン』。これも名物料理なのだとか。「ボラーン」は、「昔の、古代の」という意味なのだが、料理名として通用するように訳すなら、「いにしえ豆腐」という感じだろうか。豆腐と豚肉を醤油ベースで煮込んだご飯のおかずっぽい味で、日本人にはすんなり受け入れられるのではないかと思う。
3品目は、今日のお薦めが書いてあるホワイトボードから選んでみた。『ドーク カジョン パッカイ グン ソット(ヤライコウの花と海老の卵炒め)』。花といってもつぼみの状態のヤライコウが少しほろ苦く、それにぷりっぷりの海老と卵がよく合っている。
日を改めて行ったときは、「今日は良いマナガツオがあるのよ」と言われ、塩漬けの梅を乗せて清蒸にしたもの『プラー ジャラメット ヌン ブアイ』と、蟹肉のカレー粉炒め『ヌアプー パッ ポン カリー』をいただいたのだが、さすが、「ハズレがない」だけあって、どちらもとってもおいしかった!
笑顔が素敵な店主のホンさん
このお店、創業は1996年。店主のホンさんと、そのお母さん、妹で始めたのが最初なんだとか。このホンさん、エビス様みたいにいつもほっこりさせられる笑顔で、とにかく愛想がいい。決して立地が良い場所とは言えないのに、20年以上も営業を続けていられるのは、料理の味もさることながら、彼女の笑顔によるところも大きいのではと思うのだが……。
【SHOP DATA】
「ジェーホン カオトムホゥアプラー(เจ้หงษ์ ข้าวต้มหัวปลา)」
TEL:062-663-9829, 084-105-1752
OPEN:15:00-23:00(年中無休)
ADDRESS:599 Sukhumvit 77 Road (Soi Onnut 44), Bangkok 10250
Facebook:https://www.facebook.com/jhong44/