スパンブリー県に初めて訪れました。
バンコクの北西にあり、車でおよそ2時間ほどの距離にある県です。
いままでじっくり地図を見たことがなかったのですが、思っていた以上にかなり広い!
とはいえ、タイ国内での県面積は77県中、39番目の広さなので広くもなく狭くもなくといった県なんですが。
目次
スパンブリー県の名所『サムチュック百年市場』
アユタヤやチェンマイなどの有名観光地に比べると、知名度はぐっと低いですが、それでも見どころは多く幾つかあります。
そんなスパンブリー県で私が今回目指したのは『サムチュック百年市場』です。
サムチュック百年市場は「三烹百年市場」(※英語名Samchuk Community and Old Market District)と表記され、2009年にユネスコの「アジア太平洋無形文化遺産」を受賞。名実ともにタイ国内屈指の百年市場です。
バンコクからサムチュック百年市場までの距離は、Googleマップ上でおよそ150km。
今回、スパンブリー県までの足として利用したのは『Sathon Car Rent』で、ここからのマップは以下になります。
見たこともない超巨大ルークチンに遭遇!
市場内は100年以上前に建築された木造家屋が並び、軒を連ねる露店で販売されているのは、衣料品、アクセサリー、お土産品、時計、メガネ、おもちゃなど、さまざま。
それらと共に並ぶのが、タイ料理のおかずやフルーツ、お菓子、ジュースを売る露店です。
これらを眺めつつ、気になったものを買い、手に持ちながら散策するのが楽しい!
市場内でもっとも目を引いたのが超巨大ルークチンです!
せっかくならネタとして書くために食べてみたかったんですが、サムチュック百年市場の後に立ち寄るタイ料理屋のことを考え断念。
巨大ルークチンを売るクイッティアオ屋は何店舗か点在し、魚のすり身のルークチンから豚肉を使ったルークチン・ムーがあります。
とあるお店では無数の巨大ルークチンがぷかぷかと水(お湯?)に浮かんでいて、どこからどう見ても食材には見えず、さらに言うと美味しそうには見えなかったと告白しておきましょう!
オモシロいから写真には撮るけど、買って食べる人はいるんだろうか…。
いるんだろうなぁ。
ターチン川の畔で不思議な光景に出合う
サムチュック百年市場はターチン川沿いに広がっています。
市場から川の畔へと歩いて行くと、小さな亀が幾つものバケツに入れられ待機。
食用ではなく、これらを川に放すことがタンブンと呼ばれる喜捨にあたり、タイではごく普通に行われている行為です。
放すのは亀だけではなく、小鳥だったり魚だったりと、場所によってそれぞれ。
ちなみに、ずっと「亀」と表記していましたが、おっちゃんに確認したところ「亀」ではなく「スッポン」だったようです!
スッポンのタンブンは、一バケツ100バーツです。
ターチン川に架けられた橋から一帯を眺めると、見晴らしがよく辺りが一望できて、心がリフレッシュされる。
深呼吸しながら写真を撮っていると、川辺で煙を上げながら何かの作業に従事している男性を発見。
橋の上から小走りで駆けて、目の前まで近付き、作業している初老の男性に声をかけてみました。
ーー何をしているんですか?
「コーヒー豆を煎ってるんだよ」
機械で撹拌されている鍋を覗き込むと黒い物体が煙をもくもくと上げている!
鍋からは煙とともにコーヒーの豊かな薫りが立ちのぼり、コーヒー好きの私としてはこの薫りはたまらない。
「うちは百年市場にコーヒーショップがあって、そこでこの豆を使ってるんだよ」
コーヒーショプは1947年に創業。
豆はここで2時間ほど煎ってから使っているそうです。
「大阪に日本人の友人がいて『ニシデアロイ』っていう会社をやってるよ」
ほんの少しだけ日本語を話せる彼は、親日家なのでしょう。
ちなみに、後日『ニシデアロイ』とネットで検索してみましたが、ヒットしませんでした…。
私の聞き間違えかもしれませんが、大阪の『ニシデアロイ』をご存知の方がおられましたら、ぜひご一報を!
元首相も来店した老舗コーヒー店
さて、川辺で煎った豆のコーヒーを飲むべく、ふたたび市場へと戻り、コーヒーショップを探し始めました。
ところが、おじさんがおっしゃった場所にコーヒーショップが見当たらない!
市場内の人におじさんの写真を見せて、「この人のコーヒーショップはどこですか?」と聞き込み調査をスタート。
2人目に聞いたところで、ようやく店に辿り着けました。
店頭でカオムーデーンやアヒル肉を売る露店があったので、てっきり飲食店かと思っていた店が、コーヒーショップ!
さきほどコーヒー豆を煎っていた方のお兄さんが、お店を切り盛りしています。
兄弟の上下関係は厳しく、弟が重労働を担うのは当然の役割なのでしょうか…。
店内には有名人(?)が来店した写真が多数掲げられていて、タイ王国の元首相アピシット氏が来店している写真もありました。
さて、弟さんが2時間かけて煎った豆の味わいは……。
コーヒーが甘過ぎて豆の味が分からない!
こちらでオーダーする際は「マイ・ワーン(甘くしないで)」と伝えるのをお忘れなく!
【SHOP DATA】
「ラーン・ガフェー・タールアンソン(ร้านกาแฟท่าเรือส่ง)」
OPEN:6:00-17:00
PRICE:アイスコーヒー20B
食べ始めたら止まらない!本場のカオホーバイブア
サムチュック百年市場の最後は、スパンブリー県の名産「カオホーバイブア(ข้าวห่อใบบัว)」に飾っていただきましょう。
カオホーバイブアとは、炊き込み御飯を蓮の葉で包んだ料理で、『激旨!タイ食堂』では、バンコクの専門店『カオホーバイブア ルンチュー』で取り上げたことがありました。
スパンブリー県には華人の血を引く人が多く、これはアユタヤ王朝時代、中国との貿易が盛んとなりアユタヤの一部であったスパンブリー県にも多くの中国人が流入したことから始まったのではないかと言われています。
そして彼らが持ち込んだ食文化の一つが、中華おこわ(秋味糯来飯)。
これがカオホーバイブアの源流となっているのでしょう。
私が来店した『ラーン・インディ』のカオホーバイブアは、銀杏や豚のソーセージ、豆類などがご飯と共に包まれ、蓮の葉がほのかに薫り、食べ始めたら止まらない!
バンコクでも専門店がほとんどないだけに、本場スパンブリーでいただくカオホーバイブアは絶品です。
カオホーバイブアの他、中華ちまき「バチャーン(บะจ่าง)」もあります。
こちらはもち米を使っており、カオホーバイブアよりも小ぶり。
サムチュック百年市場内には幾つかカオホーバイブアを売る店がありますが、ここ『ラーン・インディ』がもっとも人気があるのではないでしょうか。
日本の雑誌も紹介したようで、記事を超拡大した垂れ幕が掲げられていました。
「うちは創業して40年。母親が始めたお店なの」
話しを聞かせてくれたのは、現店主の女性。
お母さんは3年ほど前に逝去され、『ラーン・インディー』を受け継いでいます。
名刺をもらったところ、裏面に手書きで書かれたタイ語が…。
「これは振り込み先ね。ここに入金してくれたらカオホーバイブアやバチャーンを送ってあげるわよ」
遠方からでも注文可能ですよ!
サムチュック百年市場は平日もオープン。
開くのは早朝6時ごろから、閉店は店によってまちまちですが、だいたい18時ごろ閉まるそうです。
建ち並ぶ古い木造家屋のレトロ感が味わえ、しかもバンコクでは見られない巨大ルークチンに、店主自身が豆を煎る老舗コーヒーショップ、そしてスパンブリー名物のカオホーバイブアまで揃うサムチュック百年市場。
ガイドブックには乗っていない、おすすめしたい観光スポットです。
【SHOP DATA】
「ラーン・インディ(ยินดี)」
TEL:086-6612-302
OPEN:8:00-17:00(無休)
PRICE:カオホーバイブア30B