私は時折、一人でふらふらと飲み歩く時がございます。
屋台を飲み歩く時もあれば、日本人経営のBarを訪れることもあり、神出鬼没。
私が現れる一つが『由布』というトンローで店を構えるBarです。
店主はアイミさんというお美しい女性で、彼女の笑顔に癒されたい日本人男性が、夜毎足を運んでいるのだとか。
ある夜、『由布』で店主とお話ししていると、私がローカルグルメばかりを食べていることを知り、おすすめの屋台を教えてくれました。
「トンロー・ソイ13を入って左に曲がったあたりで営業している屋台が美味しいんです」
言葉にすると分かりづらい立地なので、Google Mapで教えてもらうことに。
すると、屋台には店名が無くマップには登録されていないため、彼女が見せてくれたのは駐車場の地図。
なんと、駐車場で営む屋台なのか。
私はハイボールを傾けて、にやりと微笑んだのでございます。
目次
2つしかテーブルがない駐車場の屋台
トンロー・ソイ13を入り、最初の交差点を左折。
南へ数十メートルくだると、『NYC Wellness Center』という病院があり、その隣が件の駐車場になっています。
駐車場にぽつんと建てられたテント。
女性が2人、フライパンを振り次々と料理を仕上げていきます。
ここが噂の名も無き屋台。
テーブルは2つだけですでに空き椅子はなく、みなさん肩を寄せ合うように座ってらっしゃる。
持ち帰りのオーダーもあり、2人は休む間もなくフライパンを振り続けています。
来店するタイ人客はメニューなんぞ見ることもなく、食べたい料理を注文。
みんな食べたい料理がすでに決まっているんだ、と思ったら、もともとメニューなんて無いようです。
つまり、食べたい料理を告げ、出来るものはOK。
出来ない料理であれば、他の料理を告げる。
皆さんがどのような料理を注文するのかとしばらく観察した結果、もっとも多かったのは豚ひき肉のガパオ。
続いてエビや牛肉のガパオ。
その次はカオパット、スキーといった感じでした。
私がオーダーしたのはガパオライスでございます。
牛肉のガパオライス(ผัดกะเพราเนื้อ)
屋台で牛肉のガパオライスって珍しい。
そんなこともあって、定番の豚ひき肉ではなく牛肉にしてみました。
まず、ここのガパオの特徴は味付けがしっかりしていて濃いめ。
きっと、バイクタクシーやデリバリーの方など、汗をかく仕事をしている男性が多いこともあるのでしょう。
こういった味付けは飯が進むからありがたい。
ちょっと牛肉が硬かったけど、絶妙な味付けとガパオの豊かな香りも手伝って、瞬殺で完食いたしました。
豚ひき肉のガパオライス(ผัดกะเพราหมูสับ)
牛肉をいただいたので、次は定番の豚ひき肉のガパオライスを。
やはりガパオライスは豚ひき肉だなぁ、なんて改めて思わせてくれる一品です。
当たり前ながら、目玉焼きもトッピング。
半熟に仕上げてくれた目玉焼きを、ゆっくりと割って、ご飯に混ぜていく。
味変によって目の前に現れた新たな世界は、私を覚醒させ、興奮させ、もうどうにも止まらないんです。
牛肉ガパオの時はなかった冬瓜スープも、味の濃いガパオに合うんだなぁ。
鶏肉のクイッティアオ(ก๋วยเตี๋ยวไก่)
テントの中にはフライパンを振る女性2人のほかに、クイッティアオを売るエリアもありました。
同じ屋台かと思ったら、どうやら異なっているようで、お友達同士の屋台なのかもしれません。
こちらの屋台で売っているのは鶏肉麺ことクイッティアオガイ。
クイッティアオを注文している人も多く、彼らが食べている姿を見ているととても気になってしまうもんだから、ガパオライスを食べた後だというのに注文いたしましました。
私がオーダーしたのは大盛りのピセー。
鶏肉は美しく並べられ、しかもボリュームが多いこと。
カオマンガイを彷彿させる盛り具合で、お腹を空かせた男たちにはたまらない量です。
暑い中、駐車場の一角で食べる醤油ベースのスープともちもちの麺。
黙々と食べる男たちと共に食べる一杯は、屋台ならではの醍醐味も味わうことができました。
駐車場で営業を始めて4ヶ月
ずっと鍋を振り続ける女性にお話を伺いました。
「うちは以前、違う場所で営業をしていたんだけど4ヶ月ほど前にここへ移ったの」
女性2人はスリン県の出身だそう。
定休日は特に設けず、用事がなければ毎日のように営業しているという商売人です。
「週休3日じゃなきゃいやー」とか言ってる最近の若い方々には、ぜひこちらのガパオライスとクイッティアオを食べていただき、商魂を感じていただきたいと思う次第です。
店名 | トンローの名も無きガパオ屋台 |
営業時間 | 10:00-16:00 |
定休日 | 基本無休 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/r3QP2rpCDCR68ijV6 |