2024年4月:写真を更新しました
シンプルな料理ほど難しいとはよく聞きますが、カオパット(炒飯)もその1つでしょう。
使用する調味料は数えるほど、白ご飯と具材を炒めただけという極めてシンプルな料理ですが、仕上がりは店によって雲泥の差が現れるほど異なり、料理人の腕とセンスが試される料理です。
私はカオパットが好きで屋台や食堂で頻繁にいただきますが、外れることは少なくとも、大当たりに出会うことは非常に稀。
1年に一皿程度じゃないでしょうか。
「激旨!タイ食堂」で取り上げた中では、ジャルンクルン通りの『AH Ou Bangrak(ร้านอาอู๋ บางรัก)』がその1店舗でした。
同店の本店はクロントゥーイ市場の裏手にあるのですが、カオパットの出来は支店の屋台が上回っています。
『AH Ou Bangrak』を紹介してからおよそ2年。なかなか出会えないとびっきりのカオパットに、バンコクの旧市街で出会うことができました。
夕方から屋台が並び始める旧市街のタナオ通り
旧市街地の観光名所「サオチンチャー(巨大ブランコ)」からだと、西方面に向かって歩くこと5分ほど。
タナオ通り(Tanao Rd)とナワ2通り(NAWA2)との三叉路で、夕刻から営業を始めている屋台があります。
歩道に並べられた席数は6、7席ほど、ご夫婦2人だけで営んでいる屋台です
揃えるメニューはフーチャラーム(フカヒレスープ)を筆頭に、ガポプラー(魚の浮き袋スープ)や炒め物など全6品。
以下がメニュー全品です。
ガポプラー ナムデーン/魚の浮袋入りスープ(กระเพาะปลาน้ำแดง)
フーチャラーム/フカヒレスープ(หูฉลาม)
バミーホンコンナムデーン/ホンコン麺入りスープ(บะหมี่ฮ่องกงน้ำแดง)
ガポプラー パッドヘン/魚の浮袋炒め(กระเพาะปลาผัดแห้ง)
カオパットプー/カニ入りカオパット(ข้าวผัดปู)
バミーホンコンパッドヘン/ホンコン麺炒め(บะหมี่ฮ่องกงผัดแห้ง )
あまり知られていませんが、タナオ通りには夕刻になると屋台がたくさん現れ、ちょっとした屋台通りに変貌します。
初めてこの屋台へ来店したのはまったくの偶然で、日本から来た方とタナオ通りを歩いていて、なんとなく気になり席へ着いただけでした。
そのとき注文したのはフカヒレスープとカオパット プー。
すでに他で食事をした後だったので、食欲はさほどありませんでしたが、そんな私たちの胃袋に喝を入れてくれたのがカオパット。
あまり期待していなかったのもあったでしょうが(笑)、カオパットの出来栄えが素晴らしすぎて我々大興奮!
パラパラ感といい、濃過ぎず若干薄い程度の絶妙な味付けといい、これまでバンコクで出会った中でも最高位。
屋台の柱メニューであるフカヒレスープは特筆するほどでもないのに、なんでカオパットはこれほど旨いのか…。
バンコク最強のカオパットか!?
全メニューを調理している彼女の動きを見ていると、無駄な動作は1つもなく、フライパンを軽々とさばきカオパットを仕上げていきます。
炒め物といえば、「バミーホンコンパッドヘン(ホンコン麺炒め)」も特筆もの。
味付けは塩と胡椒、あと1つ何らかしのらソースを加えた程度で、こちらもシンプルなのに風味は単純じゃない。
素人目には判別できない調味料の絶妙なさじ加減、流れるような鍋さばきと卓越した業など、調理人としてのずば抜けたセンスを持っているのでしょう。
嫁さんがこれほどのスーパー調理人なら、旦那さんと思わしき相棒はさぞ驚くような腕を持っているんだろう。
なんて誤解してはいけません。
男性はといえば、出来上がった料理を配膳したり客が去った後のテーブルを拭いたりと、完全なる雑用係。
彼女一人で屋台を背負っているといって過言ではありません。
「創業したのは…、10年以上前かな」
女性に聞くと、記憶を辿りながら「10年以上」という曖昧な年数を弾き出しました。
ここで屋台を始める前から魔法がかったカオパットを作っていたのか。それとも10年もの月日が彼女の腕を磨いたのでしょう。
カオパットの達人はそう言い終えると、顔を上げて優しい微笑みを見せてくれました。
店名 | カオパットプー タノンタナオ/ข้าวผัดปู ถนนตะนาว |
営業時間 | 16:30-22:30 |
定休日 | 月曜日 |
Google Map | https://maps.app.goo.gl/KSjzZGjxe4GTfHpf8 |