1月末からつい先日まで、タイでは中国の旧正月でした。
バンコクの中華街であるヤワラーは、さぞ盛り上がっているのだろう。
その様子を感じるべく、旧正月の真っ只中、ひとりでヤワラーを徘徊していたそのときでした。
私の目に飛び込んできたのは、食堂の店頭に掲げられていた一枚の看板。
そこには料理の写真と、日本語で料理名が記載されていました。
「ヤギシチュー」
小学生のころから近眼の私は、ここ1、2年で老眼も進行しているため料理名を見紛ってしまったかと、近付いたり離れたりしてみたけれど、そこに書いているのはやっぱり「ヤギシチュー」。
この文字を見て旧正月のことなんて頭からすっかり離れてしまった私が、テーブルについたのは言うまでもありません。
どこまでも深くコクのあるヤギスープ
テーブル席が5つほどのこじんまりとした店内。
おじさんが2人で営む『Tae Por Huad』は、先に触れたように山羊肉のシチューという、私がかつて見たことのない料理を食わせようという魂胆を全面に押し出している。
額入りのメニュー写真にはヤギシチューの他に、ガポプラ・ナムデーン(魚の胃袋スープ)、オースワン(牡蠣の卵とじ炒め)、その他炒め物が並んでいます。
厳めしい表情をまったく崩さないおじさん。
私は客でありながらもどこか恐縮したようになりながら、壁にあるヤギシチューの写真に向け指を差しました。
一人のおじさんは温和な雰囲気、私が注文した店主であろうおじさんは頑固一徹風。
一鉄さんは店頭の調理場で山羊肉のシチューを煮込み終えると、ぐつぐつと煮えたぎる土鍋を私の眼の前にどーん!
1月17日付けの記事
「Fotune Town(フォーチューンタウン)の地下はグルメ街だった!」
でも自論としてお披露目いたしましたが、土鍋に入った料理は3割増しで旨く見えます。
眼前のヤギシチューもこの論理が適用されているはずなんですが、ヤギシチューに出会ったのが初めてなので、3割増しになっているのかよくわかんねーっす!
日常的にヤギ肉なんて食さないけれど、土鍋内で主役をはるヤギ肉は臭みやクセはなく、とろとろになるまで煮込まれていて、おそるべし旨さ!
煮込んでいるスープもこれまた旨く、他で食したことのない味わいは、中華料理の香辛料が使われているのでしょう。
人生で初めて味わったヤギシチューに、私はすっかり虜になってしまいました。
ヤワラーで創業して60年以上の老舗
これなら他の料理もヤバいはず。
私はもう一品、ガオプラ・ナムデーンもオーダー。
こちらのスープはとろみのある滋味深い味わいを見せ、一鉄さんの魂を感じます。
感度著しい私のアンテナは、またもや名店を見つけてしまった。
「うちの店は1954年に創業したから、いまで何年になるんだ…」
食後、相変わらず厳めしい表情の一鉄さんに創業年数を聞いたところ、厳めしさとは裏腹に穏やかに対応してくださりました。
創業して60年以上。
最近になり店内をリニューアルしたそうです。
ヤギ肉は6時間煮込んでいると言います。
一鉄さんが入魂したヤギシチューは、ヤワラーで必食の一品でしょう。
【SHOP DATA】
「Tae Por Huad(发宝郑)」
TEL:02-221-6588,089-811-4434
OPEN:9:00-19:00(無休)
PRICE:ヤギシチュー400B、ガポプラ・ナムデーン200B
Facebook:https://www.facebook.com/TaePorHuad/