「看板に『元祖クイッティアオ・スコータイの店』って書いてる」
スコータイマラソンを終え、同行していた渡辺のり子氏とスコータイ市街地を歩いていたとき、路傍に立てられていた看板のタイ語に彼女の目が止まりました。
日本国内でときおり見かける「元祖」なる言葉は、早いもの勝ち、使ったもの勝ちとばかりに、ラーメン屋、立ち食いソバ屋などの飲食店の看板に掲げられている文言。
いまさら「元祖」という惹句に引き寄せられる客もおるまいとも思うのですが、この言葉が持つ力についつい負けてしまうのでしょう。
元祖クイッティアオ・スコータイの店へと
スコータイ県で見たまさかの「元祖」。
渡辺のり子氏いわく、「元祖」のタイ語は「ジャオ・レーク」というフレーズだそうで、私はこれまで聞いたこともなく、見たこともなく、いや見たところでタイ語が読めないので理解できるはずもないのですが。
とにかく初耳のタイ語です。
クイッティアオ・スコータイの本場に来て、まさか「元祖」の店に出会えるなんて、我々に“クイッティアオの神”が降りて来たと言っていいのではないでしょうか!
「元祖」と自ら名乗りを上げていたクイッティアオ屋は『クイッティアオ スコータイ タープイ』。
“プイお爺ちゃんのクイッティアオ スコータイ”という意味です。
つまり、クイッティアオ スコータイの創始者はプイお爺ちゃんということか……。
元祖というプイお爺ちゃんのお店は、地元のタイ人たちが押し掛けていて昼過ぎでしたが8割ほどの席が埋まっています。
30分経っても現れない元祖様……
着席してすぐオーダーしたものの、10分経っても20分経っても出て来ない。
さすがに30分ほど経ってくると「忘れられているんじゃないか疑惑」が生まれ、店主と思われる男性に確認しました。
「オーダーは通っているよ。ちょっと待っててね」
それほどオーダーが立て込んでいたのでしょう。
待つこと40分ほど。
我々の目の前に現れた元祖クイッティアオ・スコータイです。
オーダーしたクイッティアオ・スコータイ・トムヤムには、特徴であるスライスしたインゲン、豚ひき肉などの他に、豚バラ肉や骨付き豚リブ肉まで搭載されている豪華なラインナップ。
これが元祖か……。
眼下で湯気を立ちのぼらせている元祖様に畏敬の念をいだきつつ、いっただきまーす。
透明なトムヤムスープは辛過ぎず、ほんのりとした甘みと共存し、もちっとした麺とよく合う。
本場の元祖なのだから、そりゃ旨いよ!
初対面したパッタイ・スコータイ!
メニューに掲載されていたとある一品にも私の興味は惹かれていました。
それはパッタイ・スコータイ。
バンコクで出会ったことのないこのパッタイは、やはりここが元祖なのだろうか。
また40分も待たされてはたまらんと、すかさずオーダーしたら今回はすんなりと登場いたしました。
一般的なパッタイのように干しエビ、豆腐、もやし、ニラなどの姿はありません。
我が物顔でパッタイの具材として君臨しているのは、やはりインゲンです。
もう1点異なっているのは、仕上げの直前にとき卵と炒めているようで、完全に火が通っていない卵が麺に絡んでいる。
この卵が重要なポイントになっていて、麺にしっとり感を与えていて美味しい!
「うちは創業60年。クイッティアオ・スコータイはこの店が元祖ですよ」
創業者はプイお爺ちゃんでしょうが、現在はご夫婦で営んでいるようです。
ということは、看板に偽りはなかったのか。
ではパッタイ・スコータイはどうなのだろうか。
「パッタイ・スコータイはうちの店が元祖じゃないと思います」
ち、ち、違うんや〜。
クイッティアオ・スコータイをヒントにして、他の誰かが考案したパッタイなのかもしれません。
クイッティアオ・スコータイにはインゲンの他、マナオ(ライム)を入れているのも特徴で、一般的なクイッティアオにはないさっぱり感を演出してしているようです。
本場スコータイ県で出会った”元祖クイッティアオ スコータイ”
そして元祖が誰なのか分からないパッタイ スコータイ。
どちらも美味しゅうございました!
【SHOP DATA】
「クイッティアオ スコータイ タープイ(ก๋วยเตี๋ยวสุโขทัยตาปุ้ย)」
TEL:055-620-435
OPEN:8:00-16:00
ADDRESS:2/147 Rd. Jarodwithithong. Thani. Muang Sukhothai. Sukhothai 64000.
PRICE:クイッティアオ・スコータイ40B、パッタイ・スコータイ35B